「乳児のCOVID-19(新型コロナウイルス)感染は重症化なし」武漢の医師らが論文・子供や妊娠女性の感染率は高い?

武漢大学人民病院のMin Wei(ミン・ウェイ)氏らの研究論文が14日、世界五大医学雑誌の1つで米国医師会雑誌の「JAMA」で発表されました。

これによると、武漢などの病院で感染が確認され入院した乳児はいずれも軽症で、いくつかの傾向が見られたとのこと。

感染拡大に伴い「日本が次の武漢になるのでは」と行った緊張感が増す中、有力な情報の一つとして貴重な資料となりそうです。

「乳児のCOVID-19(新型コロナウイルス)感染は重症化なし」武漢の医師らが論文を発表

JAMAは5日までに臨床情報を統合し、「患者の年齢の中央値は49〜56歳であり、小児の症例はまれである」と述べていました。出典:風向新聞

その中で発表されたのが、以下の論文。

14日に発表された論文のタイトルは、「中国で入院した1歳未満の乳児における新規コロナウイルス感染」。乳児については、ここでは生後28日から1歳までの年齢を指します。

執筆したのは武漢大学人民病院のミン・ウェイ氏の他、武漢工業大学や武漢大学健康科学部の専門家ら6名。

中国国内で感染が確認された乳児を特定し、患者の家族の協力のもとデータを収集した結果、2019年12月8日から2020年2月6日までに中国でCOVID-19感染と診断された乳児の数は9名で、全員が集中治療や人工呼吸器を必要とせず、深刻な合併症もなかったことを報告しています。

9人すべての乳児の家族には少なくとも1人の家族が感染しており、乳児の感染は家族の感染後に発症しました。

7人の乳児は武漢在住、または武漢を訪れた家族がいると報告されており、1人は武漢との直接的なつながりはなく、1人は利用可能な情報を持っていませんでした。9人の乳児のいずれも、集中治療や人工呼吸器を必要とせず、深刻な合併症もありませんでした。

Families of all 9 infants had at least 1 infected family member, with the infant’s infection occurring after the family members’ infection. Seven infants were reported to be either living in Wuhan or having family members who visited Wuhan, 1 had no direct linkage to Wuhan, and 1 had no information available. None of the 9 infants required intensive care or mechanical ventilation or had any severe complications.

出典:JAMA”Novel Coronavirus Infection in Hospitalized Infants Under 1 Year of Age in China”

この論文では

・幼児もCOVID-19に感染する
・感染者は全員家族間感染だった
・症状は軽度であった
・9人の幼児患者のうち7人が女性(ただし、これまでの研究では男性の方が感染率が高いとされていた。今後より多くのデータが必要)

といった結果が明らかになっています。

一方でミン氏らは、今回の研究はサンプル数が少ないこと、入院した乳児のみに限られ、無症候性患者が含まれていないことによって制限されていることに言及し、急速な感染者数の増加を考えると「データは不完全であり、今後調査が必要」と結論づけています。

この研究は、サンプル数が少ないこと、入院した乳児のみが含まれること、無症候性患者が含まれていないことによって制限されていました。乳児の関連感染について体系的かつ包括的な検索が行われましたが、流行は急速に広がっており、症例の特定が不完全である可能性があります。

The study was limited by small sample size, inclusion only of infants who were hospitalized, and lack of inclusion of asymptomatic patients. Although a systematic and comprehensive search was made for relevant infections in infants, the epidemic is spreading rapidly and incomplete identification of cases is possible.

出典:出典:JAMA”Novel Coronavirus Infection in Hospitalized Infants Under 1 Year of Age in China”

調査の方法は?

感染が確認された乳児の抽出と特定の方法、調査内容については以下の通り。

対象者:2019年12月8日から2020年2月6日までに中国でCOVID-19感染と診断されたすべての入院中の乳児

特定の方法:中央政府が毎日発表する最新のCOVID-19感染の概要番号と地理的位置を照合し、乳児(生後28日から1歳)を特定。

調査内容:地域の保健部門によって匿名で公開された年齢、性別、地理的位置などの人口統計情報が取得され、

・人口統計データ
・家族の感染状況
・武漢とのつながり(武漢に居住または訪問、または感染の2週間以内に武漢からの訪問者と接触したか)
・臨床的特徴(入院時の症状、入院および診断の日付)
・治療(集中治療室に入ったか・人工呼吸器を必要としたか)
・予後(死亡を含む重篤な合併症があったか)
・退院日

これらを患者の家族に連絡を取り、確認を行った。

子どもや妊娠中の女性はCOVID-19(新型コロナウイルス)感染率が高い?

この論文では「COVID-19(新型コロナウイルス)感染の確率」については結論を出していませんが、JAMAの臨床情報の統合結果から、「小児の症例はまれである」見解が有力と見られます。

一方で国家保健衛生委員会は2日、「子供と妊娠中の女性は、新しいコロナウイルスによって引き起こされる肺炎の影響を受けやすい」つまり、子供や妊娠中の女性の感染率が高いことを明言。

相反する意見のため、今後の動向については注意が必要です。

ただし、中国国内および世界的にも、現在のところ重篤な例は報告されていません。

最近では、中国で生後1か月の女の子(貴州省)の感染が認められた他、ベトナムでは生後3ヶ月の赤ちゃんの感染報告日本国内でも母子の感染が確認されています。

ウイルスの変異で危険度は増すことも

論文や国家衛生委員会からは、感染者はいづれも順調に回復していることが報告されていますが、ヒトーヒト感染でウイルスが変異し、危険度が増すことも想定されます。

WHOは新型コロナウイルスによるものとみられる肺炎の致死率を3%程度と推定している。(中略)ーただし感染者が増えたり、ウイルスが変異したりすれば致死率が変動する可能性もある。出典:日経ビジネス