ゾフルーザは小児に安全?科学誌で耐性菌報告され「12歳以下は服用勧めない」小児学会の声も

2019年11月25日、東京大の河岡義裕教授と今井正樹准教授らのチームが米科学誌「ネイチャーマイクロバイオロジー」で「インフルエンザ治療薬ゾフルーザを飲んだ患者から、薬の効かない耐性ウイルスが検出された」ことを発表し、世界的に話題になっています。

ゾフルーザは2018年に登場したインフルエンザ治療薬。従来の治療薬に比べてインフルエンザ菌を体内からより早く排泄させる・1回の服用で治療が完了するという特性があります。

今回の研究チームの報告によりゾフルーザの服用に対する見方はどう変わったのか、小児学会の報告とともにまとめました。

ゾフルーザは小児に安全?科学誌で耐性菌報告

ゾフルーザは小児にとって安全なのでしょうか。

耐性ウイルスで治癒が長引く可能性

東京大学の河岡義裕教授によれば「通常の(インフルエンザ)ウイルスと同程度の病原性を持つ耐性菌」ができる可能性があり、注意が必要とのこと。

東京大学の今井正樹准教授と河岡教授らの研究成果が掲載された25日付の英科学誌「ネイチャーマイクロバイオロジー」(電子版)では、

ゾフルーザを服用した15歳以下の患者3割から耐性ウイルスが発見される。

耐性ウイルスは通常のウイルスと同じくらい増殖性がある。

服用した患者は耐性ウイルスにより熱が再び出て治癒が長引く可能性がある

耐性ウイルスは人から人にうつって広がる可能性がある

抗インフルエンザ薬は適切な摂取を考える必要がある

といったことが指摘されています。

東京大学の今井正樹准教授と河岡義裕教授らは、インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が効きにくくなるように遺伝子が変異したウイルスを調べ、病原性や感染能力が通常と同じであることを明らかにした。

河岡教授は「変異株が人から人にうつる可能性を考慮した上で適切な使い方をする必要がある」と話す。出典:日経新聞

「耐性ウイルスによって熱が再び出て治癒が長引く可能性がある」と注意を呼び掛けている。出典:共同通信

当初、ゾフルーザが効きにくい耐性ウイルスは通常のウイルスよりも増える力が弱いとされていた。だが、東京大などが調べたところ、耐性ウイルスは通常のウイルスと同じくらい増殖性があり、人から人にうつって広がる可能性があることがわかってきた。出典:朝日新聞

一方で、フルシーズンで使われたのはまだ1年のみで、臨床データが足りないという現状もあり塩野義製薬は「変異ウイルスの出現はある程度予想されていた」とコメントしています。

ゾフルーザが非常に有効な場合も

今回の研究により問題となったのは「治癒が長引く可能性」「耐性菌が増えていく可能性」が明らかになり、「耐性菌が人に移るかもしれない」といった懸念事項が浮上していることにあるよう。

しかしゾフルーザは他の抗インフルエンザ薬とは異なる作用を持つことから小児に対しての場合でも、症状によって切り札となる可能性も秘めているといいます。

「非常に重症な患者」に対して既存の抗ウイルス薬と組み合わせて使う→大きな治療効果が期待できる。

「重症化しやすい鳥インフルエンザの患者」→治療の切り札になる可能性が期待できる。

ゾフルーザは使い方によっては非常に重要な薬になる。・・例えば、重症化しやすい鳥インフルエンザ=用語説明2=のH5N1やH7N9などのウイルスが出現した場合、治療の切り札になる可能性がある。

もう一つは、非常に重症な患者に対して既存の抗ウイルス薬と組み合わせて使うことで大きな治療効果が期待できることだ。菅谷医師は「ゾフルーザはタミフルやラピアクタと一緒に使用すると、耐性が出ず、効果も高まる可能性が基礎研究で明らかにされている。小児の脳症や高齢者の肺炎などの重症のインフルエンザ入院患者にはたとえば、ゾフルーザとラピアクタを同時に使用することは有効と考えている」と言う。

ゾフルーザは「12歳以下は服用勧めない」小児学会の声

今回の東大の研究成果を元に、10月、日本感染症学会と日本小児科学会は抗インフル薬の使い方について話し合いが持たれました。

その結果、2学会の意見として「12歳未満は慎重に投与を検討する必要がある」とし、さらに小児学会としては「12歳未満の小児に対する積極的な投与を推奨しない」という指針を発表。

詳細については、以下の通り。

日本感染症学会と日本小児科学会は抗インフル薬の使い方について話し合い、10月にそれぞれ提言や指針を発表した。

感染症学会の議論をまとめた倉敷中央病院の石田直医師(呼吸器内科)によると、ゾフルーザは使われ始めたばかりで、科学的データが少ない。そのため、学会内で意見が割れた。

結局①12歳以上は推奨・非推奨は決められない②12歳未満は慎重に投与を検討する③免疫が落ちている人や重症患者には単独での積極的な投与は推奨しないと、多くは現場の医師の判断に任せる形になった。

子どもへ使うべきかどうか?

小児科学会は「12歳未満の小児に対する積極的な投与を推奨しない」とした。同学会の斎藤昭彦・新潟大学医学部教授(小児科)は「データが少なく、12歳以下では学会としては使わないほうがよい、となった。昨年かなり使われ、耐性ウイルスの報告もあって危機感を持っている」と話す。出典:JIJIメディカル

ゾフルーザによる治癒の遅れだけでなく、耐性菌の弊害が未知数であるところに学会では危機感が持たれているようです。

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