何度も同じミスを繰り返してしまったり、そのように感じて、プレッシャーや先行きの不安に悩むとき、メモの取り方や覚え方を工夫したり、コミュニケーションの取り方を改善したり、仕事の仕方を工夫する方法がありますが、脳や体からくるパフォーマンスも大きく影響しています。
今回はセルフケアが可能な、心身に働きかけることで改善できる「ミスを繰り返さなくなる方法」についてまとめました。
ミスを繰り返す時に考えられる原因
ミスを繰り返す原因には、無自覚でも心理的、身体的な不調和が原因であることがあります。以下に原因となる事例を挙げてみました。結構当てはまるかも?
ミスを繰り返す原因:心理的要因
1. 自己効力感の低さ
「自分はできる」という、自己効力感が低くなっていると、行動がその意識に合わせてしまうことがあります。心理学者アルバート・バンデューラの研究によれば、失敗やミスを重ねるとき、自己効力感が低いと新しい挑戦に対する意欲が低下し、注意力が散漫になる傾向があるとされています。
2. 謙虚さの欠如
自己効力感が必要であるとはいえ、自信も過剰になると、繊細さや正確さが失われて仕事の質が下がる可能性が高まります。自信過剰をセーブするのは「謙虚さ」。知識や経験が豊富な人ほど自信と慎重さを兼ね備えていることが多く、精度の高い仕事を行うことも心理学で証明されています。(ダニング=クルーガー効果)
3. ストレスと不安
過度なストレスや不安もミスの大きな原因です。ストレス状態では認知機能や記憶力が低下し、注意力や判断力が20〜40%ほど鈍ることが分かっています。また、不安感があると集中力が低下しやすくなり、ケアレスミスが増える要因になります。
3. 注意欠陥や過集中
注意欠陥障害(ADHD)の注意が分散しやすさや、その逆の過度な集中(過集中)も注意の範囲を狭め、他の重要な要素を見落とす原因になり得ます。
ミスを繰り返す原因:身体的要因
1. 睡眠不足
睡眠中、脳は記憶の整理を行い、集中力や判断力に関わる前頭葉も休息を得るため、寝不足は脳の機能を著しく低下させ、ミスを誘発します。
実際に学習効率や記憶力を約40%ほど低下させ、集中力は30〜50%も下がることが多くの研究で明らかになっています。ハーバード大学の研究によると、慢性的な睡眠不足は反応時間や注意力を著しく低下させ、ミスが増加する原因となるという発表も。
2. 栄養の偏り
栄養の偏りもミスにつながる原因です。特に、脳のエネルギー源であるグルコースが不足すると、集中力が低下し、ケアレスミスが増える傾向があります。また、ビタミンB群やオメガ3脂肪酸が不足すると、記憶力や判断力にも影響を与えることが研究で示されています。
3. 運動不足
運動不足は、脳の血流を悪化させ、注意力や判断力を低下させる原因となります。定期的な運動は血液の循環を改善し、脳内の酸素供給が向上するため、ミスの予防に役立ちます。アメリカの精神医学の教授であるジョン・ラティは、「運動は脳を活性化し、集中力や記憶力を強化する」と述べています。
ミスを予防する効果的な方法5選
実は仕事上のミスには、生活習慣が原因で引き起こされていたこともあることに気がついた人もいるのでは。こうしたことが原因ならば、生活を整えないことがとてももったいないことです。
以下に、ミスを予防する効果的な方法を5つまとめました。ぜひ一つ一つ取り入れてみてください。
1. 自己効力感を上げる
ストレスが原因で集中力が低下することが多いことに注目すると、その一つに習慣化が挙げられます。「週に3回は30分ウォーキングする」「朝は美味しいコーヒーをたっぷり飲む」「朝日を夕陽を必ず浴びる」など、自分が心地良くなることを習慣化してみてください。
習慣化は、自己効力感を上げるための有効な手段です。自己効力感とは「自分には目標を達成できる」という信念のことです。習慣化により、同じ行動を繰り返すことで成功体験が積み重なり、自分の能力や努力が成果に繋がるという実感が増します。この経験の蓄積により、次第に「自分ならできる」という自己効力感が向上し、困難な状況でも前向きに行動できるようになります。特に、成功者が習慣を大事にする背景には、こうした根拠があるとされています。
2. 睡眠の質を改善する
良質な睡眠を取ることは、ミスを防ぐための基本ともいえます。仕事に慣れない時や、ストレスを感じる日々であるほど、眠れない場合もありますが、そんな時は次のアクションも取り入れながら、体を整えていくことをお勧めします。
- ホットミルクやリラックスティーを飲む
- 寝る直前に湯船に浸かる
- 朝日と夕陽を浴びる(交感神経と副交感神経のバランスが整う)
- 寝具にこだわる
- 四肢を重点的に血行を良くするストレッチを行う
規則正しい睡眠サイクルを心がけ、寝る前にリラックスするルーティーンを取り入れて。科学的には、深い睡眠が脳の正常な動きをサポートするので、記憶力・集中力・判断力を高めてくれます。
3. 栄養を整える
脳のエネルギー源としては食事の質も欠かせません。栄養バランスが悪いと空腹になりやすく、また余分なカロリー摂取も能率を下げるため、バランスの取れた食事を心がけることで、脳の働きを最大限に活かすことができます。
眠くならず、仕事のパフォーマンスを上げる食事のメニューには、エネルギーを持続的に供給する低GI食品や、集中力や脳の働きをサポートする栄養素を多く含むものが推奨されます。食べる楽しみも意識したメニューの例も上げてみました。
1. 野菜たっぷりのチキンサラダ
- 素材・特徴:鶏むね肉(高タンパク質で低脂肪)や葉野菜(ケールやほうれん草)に、アボカド、トマト、ナッツを加えたサラダ。ビタミンや抗酸化物質、良質な脂肪が豊富で、脳に長時間のエネルギー供給を行います。
- 見た目・味:色鮮やかで爽やかな見た目。レモンやハーブドレッシングをかけることで、サッパリした味わいです。
2. サーモンとアボカドの全粒穀物ライスボウル
- 素材・特徴:サーモン(オメガ3脂肪酸で脳機能をサポート)、アボカド(良質な脂肪)、そして玄米やキヌアなどの全粒穀物。低GI食品のため血糖値が安定し、午後の眠気を抑えます。
- 見た目・味:鮮やかなサーモンのピンクとアボカドのグリーンが映えるボウルスタイル。しょうゆやみそベースのドレッシングで風味豊かに仕上がります。
3. ヨーグルトとベリー、ナッツのパフェ風ボウル
- 素材・特徴:ギリシャヨーグルト(高タンパク質で消化に優れる)、ブルーベリーやラズベリー(抗酸化物質)、ナッツ(ビタミンEと良質な脂肪)。脳の健康を促進し、集中力維持に役立ちます。
- 見た目・味:カラフルなベリーとヨーグルトで視覚的に楽しく、甘酸っぱくクリーミーな味わいが楽しめます。
上記のメニューは消化にも優れ、エネルギーを持続的に供給してくれるので、仕事のパフォーマンスを維持するのに最適です。最近話題のサラダボウルやアサイーボウルなどもお勧めです。
4. 運動を取り入れる
運動を日常に取り入れることも効果的です。ウォーキングやストレッチなど、軽い運動でも血行が促進され、脳の機能が改善されます。特に朝の軽い運動は一日の集中力を高め、ミスを防ぐ効果があるとされています。
5. 作業環境の見直し
仕事のパフォーマンスが環境音にどう影響されるかは、個人の性格や集中のタイプに大きく左右されます。以下のような特徴に基づき、どのような環境が向いているかがわかります。
1. 外向的で多動的な人(エクストラバート)
外向的な人は比較的、周囲の音や刺激に対して寛容であり、喧騒の中でも集中しやすい傾向があります。特にカフェやコワーキングスペースなど、適度な人の気配や背景音がある環境は「適度な刺激」として脳に作用し、集中力を高めることがあります。音楽をかけたり周囲の雑音がある方が、逆に退屈せずに作業を進められるため、刺激を求めるタイプにはこのような環境が向いています。
2. 内向的で慎重な人(インターバート)
内向的な人は、静かで落ち着いた環境での仕事が向いています。彼らは感覚が鋭く、周囲の音が気になりやすいため、周囲の音が少ない環境の方が集中力が高まります。特に図書館や自宅の静かな空間、あるいはイヤープラグやノイズキャンセリングヘッドフォンを使って環境音をシャットアウトすることで、ミスが減り、細かい作業や論理的思考が求められる仕事に集中しやすくなります。
3. 敏感でクリエイティブな人(HSP気質を持つ人)
非常に感受性が高く、クリエイティブな人も静かな環境を好む傾向があります。このような人は周囲の変化に敏感で、些細な音も気になりやすいため、自然音やホワイトノイズが流れる静かな環境が効果的です。この音が集中を助け、安心感を与えるため、適度に心地よくリラックスできる空間が必要です。
喧騒の中で集中できるか静かな環境が必要かは、外向的か内向的か、また感受性の度合いに応じて異なります。個々の性格特性を踏まえた作業環境の選択により、パフォーマンスを最大化することができます。
まとめ
ミスを繰り返す背景には、ビジネスのスキルやコミュニケーション能力に限らず、心理的および身体的な要因も複雑に絡んでいます。今回ご紹介した内容が少しでもお役に立てば幸いです。
自身を理解し、適切な対策を講じることで、ミスを減らし、より効率的で充実した日常を目指しましょう。