中国製のソーラーパネル内に”遠隔操作できる通信機・携帯”見つかる「壊滅的な被害起きうる」アメリカの調査で発見

アメリカのエネルギー当局は、中国製の太陽光発電インバーターやバッテリーなどの機器から、製品の仕様書に記載のない通信装置や携帯電話が見つかったとして、電力インフラに対するリスクの見直しを進めていることを、19日までにロイター通信が報じました。
専門家らによるとこれらの装置はファイアウォールを回避して遠隔通信できる可能性があり、少なくとも一部地域でインフラの壊滅的な被害が起こりうるとして対応に追われています。

中国製のソーラーパネル内に”遠隔操作できる通信機・携帯”見つかる

ロイターによると、問題の機器は、中国製の太陽光発電パネルや風力タービン、電気自動車の充電器などに使用されるインバーター(パネルから発電した直流電力を交流に変換して送電網に流す機器)。これらには、ソフトウェアの更新や保守を行うためにリモートアクセス機能が備わっており、通常は使用企業が設置したファイアウォールにより外部との通信は制限されています。

ロイター通信(2025/05/15「中国の太陽光発電インバータで不正な通信機器が発見される」)

FOXニュース(2025/05/19「中国の太陽光発電技術が米国の電力網に「恐ろしい」脅威をもたらすと議員が警告」)

しかし、アメリカの専門家チームが一部の中国製機器を分解調査したところ、製品マニュアルに記載されていない通信装置が組み込まれていたことが明らかに。過去9か月の間に、携帯電話用の無線機などが一部の中国製バッテリー内部からも複数発見されており、意図的に設置された可能性があるとみられています。

「壊滅的な被害起きうる」アメリカの調査で発見

関係者は、「これらの不正装置により、送電網の遠隔操作や設定変更が行われるおそれがあり、大規模な停電やエネルギー供給の混乱を招く可能性がある」と警鐘を鳴らしています。また、「こうした機能が事実上、電力網に対する物理的な攻撃手段となり得る」とも指摘しています。

中国政府はこうした主張に反発しており、ワシントンの中国大使館の報道官は「中国のインフラ整備の成果を歪曲し、中傷する行為に反対する」と抗議していますが、米エネルギー省は「新興技術に関連するリスクの評価を継続している」としつつ、「悪意があるとは限らないが、調達側が機器のすべての機能を理解しておくことが重要」としています。

こうした中、アメリカでは安全保障上の懸念から、中国企業との関係を見直す動きが加速しています。今年2月には、米上院で「外国の敵対的電池依存からの分離法案」が提出され、2027年10月以降、国土安全保障省が特定の中国企業からバッテリーを購入することを禁止する方針が示されました。

この法案はまだ成立していませんが、コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー(CATL)やBYDなど、中国の主要6社が対象とされており、今後の議論の行方が注目されています。

また、フロリダ州最大の電力会社を含む一部の米電力会社では、すでに中国製機器の使用を減らす動きが進んでおり、他国からの調達に切り替える方針を固めつつあります。

アメリカでは今後、中国製インバーターについてもバッテリーと同様の禁止措置が取られる可能性があると見られており、エネルギー安全保障の観点からも国際的な関心が高まりそうです。