近年、表向きには見えにくい「闇バイト」の存在が社会問題となっています。実際に起きた事例の振り返りと共に、闇バイトがどのように募集され、どんな経路で人々が巻き込まれていくのかを深掘りしてみましょう。また闇バイトの見分け方や、関わってしまった場合の対処方法についても紹介していきます。
出典:Youtube「横浜の強盗殺人事件で逮捕された男 闇バイトに「初めて応募した」|TBS NEWS DIG
闇バイトとは?実際の事例
闇バイトは、窃盗、詐欺、薬物の売買、振り込め詐欺の「受け子」といった犯罪行為に関与するアルバイトを指します。犯罪の駒として使われる場合が多く、「高収入、日払い」など耳障りの良い嘘で犯罪であることをふせ、犯行に及ばせるという手口が増えています。気が付かぬうちに犯罪行為に手を染めることになり、逮捕や社会的信用を失ってしまうのです。
事例1: SNSを通じての詐欺グループへの関与
大学生が「短期間で高収入が得られる」というSNSの広告を見て応募したところ、詐欺グループに関与させられ、受け子役として他人の資産を奪う役割を強要される事件がありました。違和感に気づき、辞めたいと申し出ると個人情報を盾に脅され、逮捕されるまで利用され続けました。
事例2: 匿名掲示板からの誘い
「X(旧Twitter)で“資金調達”と検索し、闇バイトに応募した。」このように高収入バイトの募集に応募した若者。「会社の金を持ち逃げした人から金を取り返す仕事がある」と言われ、住民を殺害して金品を強奪しました。後から「詐欺に加担していた」と気づくも、止めることができない心理状況になっており、犯罪を犯してしまいました。
闇バイトの募集ってどこでするの?
闇バイトは、一般的な求人サイトやアルバイト情報誌ではなく、以下のような特定の場所で密かに募集されています。
1. SNS(ソーシャルメディア)
X(旧Twitter)やInstagram、LINEなどのSNSでは、「高収入」「簡単に稼げる」「資金調達」などのフレーズが使われた投稿やDM(ダイレクトメッセージ)での勧誘が見られます。企業実態がなく、Telegramに誘導するなどの動きを見せるものは信頼しない方が良いでしょう。
「闇バイト 募集」などの検索ワードでは検索してもすぐには出てきませんが、求職者の心理に沿ったワードや、常習者に向けた特定のハッシュタグや隠語を使って募集されることもあります。
2. 匿名掲示板やアンダーグラウンドサイト
匿名で参加できる掲示板や求人アプリ「ジモティー、タイミー(その他同系列のアプリも注意)」やダークウェブでは、より犯罪色の強いバイトの勧誘が行われています。
特に注意喚起がされているのはタイミーのような日払いアルバイトのアプリでの求人。「携帯販売」「引越し作業」といった一見普通のアルバイトの求人に見える言葉で募集をかけながら、業務の説明は「現地集合」「仕様期間がない」など普通の同業のアルバイト募集とは何か違う、違和感を感じるものになっています。
「誰でもできる」「即金」などの募集には危険な案件が紛れていることが多いため注意が必要です。
3. 知人や友人からの誘い
若者や学生の間では、友人や知人を通じて闇バイトに誘われることが多く、軽い気持ちで始めてしまうケースも報告されています。
身近な人から「高収入のバイトがある」「自分もやっているから安心」といった条件の甘い言葉も、友人からの紹介であれば信頼してしまう人が多く、「これなら大丈夫だろう」と安易に始めてしまうケースも多く見られます。知り合いが始めていることが安心感を与え、闇バイトに巻き込まれてしまうことは少なくありません。
闇バイト(怪しい求人)を見分ける方法
闇バイトは犯罪に巻き込まれるリスクが高く、安易に関わると社会的な信用や未来を失う恐れもあります。以下に、見分けるポイントをまとめました。
1. 「高額報酬」「短期」などのキャッチコピーに注意
通常のアルバイトで極端に高額な報酬を提示されることは稀です。1日で数十万円や1週間で数百万円など、非現実的な金額を提示している場合は特に注意が必要です。高収入を強調する一方で、業務内容が曖昧な求人には特に警戒してください。
2. 業務内容が不明瞭
「誰でもできる簡単な作業」「詳細は面談で」などと記載され、業務内容が具体的に説明されないものには要注意です。詐欺や違法行為に加担させられるリスクがあるため、応募する前に十分に確認する必要があります。
3. SNSやDMで突然の勧誘
SNSのDMやLINEで突然「簡単に稼げる」「隠れた副業」といった勧誘が来た場合、それは高確率で闇バイトの可能性があります。特に、個人情報を求めてくる場合や、秘密を厳守するよう指示するものには注意が必要です。
4. 面接や連絡方法が不自然
連絡手段が特定のSNSアプリのみ、匿名でのやり取りを強調する場合も注意が必要です。通常の仕事では、メールや電話でのやり取り、顔を合わせた面接などが一般的です。不自然に匿名性が強調される求人は避けるようにしましょう。
5. 知人からの紹介も鵜呑みにしない
知人や友人からの紹介でも、内容に疑問がある場合は慎重に検討してください。「誰でもできるから」と誘われたとしても、業務内容や報酬が不自然な場合は、すぐに断る勇気を持ちましょう。
闇バイトに巻き込まれてしまった場合の相談先
もし闇バイトに巻き込まれたり、関わってしまった場合は、速やかに適切な相談先に連絡することが重要です。以下、主な相談先を紹介します。
警察・最寄りの交番
違法な行為に関わってしまった可能性がある場合は、最寄りの警察署や交番に相談しましょう。事情を説明し、指示を仰ぐことで適切な対処を行えます。
弁護士
法的な対応が必要な場合、弁護士に相談することで自身の立場を守り、適切なアドバイスを受けることができます。地域の無料相談なども活用し、必要に応じて弁護士を通じた対応を検討しましょう。
ヤングテレホンコーナーや少年サポートセンター
各地の自治体では、未成年者や若年層向けの相談窓口を設けています。学校での相談や友人に打ち明けにくい場合も、匿名で相談できる窓口を活用してみましょう。
インターネット上の相談窓口
SNSなどを利用したオンライン相談窓口も増えています。LINEやWeb上で匿名相談が可能な窓口では、悪質な闇バイトのリスクや違法行為に関する相談が行えます。
まとめ
闇バイトは、表向きは「高収入」「簡単」と謳われていても、違法行為に加担する危険性が高く、一度関わると将来にわたって取り返しのつかない影響を及ぼす可能性があります。危険な勧誘を見極め、万が一巻き込まれた場合は速やかに適切な相談先に助けを求めることで、自身を守りましょう。