「男性が女性の救助時にAEDを使ったら訴えられる」SNS(旧Twitter)では最近「男性が女性を救助する際にAEDを使用したら訴えられるのではないか」という話題が大きな関心を集めています。
この議論は、AbemaTVの特集で取り上げられた内容が発端となりました。特集では「男性が社会的に不利な立場になりやすい」という観点から、女性に直接触れるような救護は避けたほうが無難だという意見が示され、SNS上で賛否両論が巻き起こっています。
これを受けて、ABEMAnewsはさらに動画を投稿。実際に救護に参加しない方がよいのかという際どい問題について編集されています。
これによれば、少なくともAEDの正常な使用のためには
・できる限り下着を外す、着衣をゆるめる(感電・漏電により正しく使用できないリスクがあるため)ことが必要
であること、しかし男性が女性を救護をしている様子を
・動画で撮られてしまえば、訴えられる危険が出てくる
ことが注意点として挙げられています。
そのため、女性の救護の仕方としては応援を呼んだり、救急車の要請をする側に回った方が無難であるというのがABEMAnewsでの見解として見られます。
「男性としては救助避けたい」本音が話題
こうした厳しい現実にネットでは「これで確定。絶対にAEDは使用しません。」「助けた女性から訴えられるなんて、デマであってほしかった。これは笑えない・・。」「助ける側にリスクがあると思うと、なんか躊躇してしまいますね」「救急車呼んで立ち去るが正解になるのか...」などと、消極的な意見が並びました。
「救助者を守る」社会への取り組みが必要
こうした議論が浮き彫りにするのは、救命行為をめぐる社会的な課題。たとえば、アメリカなどで一般的に定着している「善きサマリア人の法」と呼ばれる、救命行為を行った人を法的に保護する制度がありません。
「善きサマリア人の法」とは・・「災難に遭ったり急病になったりした人などを救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、失敗してもその結果の責任は問われない」というもの。この定義がない日本では、救助者が過失を問われる可能性が出てきてしまいます。
「セクハラ」のような男女間の誤解を避けるために、
- 救助時の行動を明確に記録する(周囲の協力を得て記録する)
- 複数人で対応する
といった対策が求められています。
センシティブな問題でありながらも、今回のような命を救うための行動が「リスク」と見なされるような社会は、決して健全ではありません。
こうした問題のシェアが「ためらわずに助けたい」という思いを叶えられる社会へ法整備につながっていくことが求められそうです。