三笠書房の新刊『困った人を動かす心理術』が炎上中 “動物扱い”の挿絵に「無意識の差別」と批判殺到

三笠書房から発売予定の書籍『職場の困った人をうまく動かす心理術』が、SNSを中心に一部で批判を浴びています。発達障害や精神疾患などを抱える人を“困った人”と一括りにし、「心理学を使えばコントロールできる動物」として描いている点に「あまりに差別的」「カウンセラーがこんな本書いていいの」といった声が多数寄せられています。

「困った人を操作する」? 無意識の偏見が見える内容に反発の声

「これ、まずくない? 世に出していいの?」

今月24日に発売が開始されるある1冊の本が、今話題になっています。

書籍の紹介文によれば、この本では、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD、愛着障害、更年期障害、パニック障害といった精神的・発達的な特性を持つ人たちを「困った人」とまとめ、その対処法を心理学的に解説。

一見、職場での人間関係をスムーズにするための実用書のように見えますが

「手を焼く迷惑な社員をどうコントロールするか」「”これ以上自分が迷惑をこうむらないために「困った人」の操作をするためのハウツー本”」

に傾倒しており、支援や共存といったやさしさが一切ないところに「とんでもない差別意識を含んでいる」とSNSユーザーから非難の対象となっています。

SNSでも次のようなコメントが話題となりました:

「『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(神田 裕子)これヘイト本でもなくナチュラルに倫理的なコンプラアウトで、ちょっとすごすぎるな」

「これが何人ものチェックを通過して決定してるって、三笠書房の社員さんたちが心配になるレベル」

さらに、「マイクロアグレッション(無意識の差別や偏見によって誰かを傷つけること)だ」として、こんな投稿も。

「発達障害(ASD, ADHD)、愛着障害、トラウマ障害、精神疾患といった『困った人』を動物さんに例えるという建て付け、この本の骨子のようだからもう何も変更できないね」

「こーいう『自分を困った人ではない、相手をうまく動かそうと思ってる方々』の方が、けっこー心ヤバくないですか?」

「私にとってはこの、人の操作に躊躇なき普通人って、余程こわいよ」

挿絵と表紙のキャッチコピーにも違和感「人として見ていないのでは」

さらに炎上の火に油を注いでいるのが、挿絵と表紙デザインです。本の中では“困った人”を動物の姿で表現しており、うさぎやサルなどに例えられたキャラクターが上司らしき人物に叱られている場面が描かれています。これに対しては、次のような声も上がっています。

「人間として描かれていないのがショック」

「同じ職場にいる人間を、こんなふうに見てるの?」

また、表紙には「社会にはびこる愛すべき困った人たち」「なぜ私が尻拭いをさせられるのか」といったキャッチコピーが並び、これも強く問題視されました。

「『はびこる』とか『尻拭い』とか、暗に存在が迷惑ですよって言ってるようなものですよね」

「しかも人間としてすら描いてもらえないっていう…発達障害の部下に苦しめられた身としても、やりすぎ。もし悪意がないのであれば逆に恐ろしいレベルだと思いました…」

なお、現在は出版社への問い合わせ・抗議の流れも起きています。著者の「スーパーカウンセラー神田裕子」さんのSNSに対しても、コメント欄は

「相手の気持ちを理解するための本なら困った人だなんて言葉は使わないかな。」

「発達障害や精神疾病を持った方々を畜生で表現するような優生・選民思想を持った「困った」差別主義者」

「著者をはじめ、企画者、編集、出版社、イラストレーター等、関わった皆さんは、誰一人としてご自身の差別意識に気付かなかった事をどう思われますか?」

「本物のカウンセラーはこんな本は書かない。」

「がっかりです。こんなことがあるから、資格がない人がカウンセラー名乗るのは本家のご迷惑よ。」

と厳しい意見が。

こうした批判が広がる中、すでに一部の販売サイトでは紹介ページが削除されるなど、影響も出始めています。