先日、ロンドンの街中に展示された“海洋ゴミでできた巨大クジラ”のアートが、日本のSNSで大きな話題になりました。きっかけは、東日本大震災の津波によって流されたであろう漁業用のカゴが作品中に含まれていたこと。
「震災で失われたものをゴミ扱いするなんて失礼すぎる」「これは日本への当てつけでは?」と憤る声がある中、あるXユーザーが直接、アートを管理しているキュレーターに問い合わせた結果が反響を呼んでいます。
「ロンドンのクジラ」問い合わせた人が「誤解」だったと説明
オブジェクトのわかりやすい位置に震災の傷を思い起こさせる被災地の名前が多数含まれ、震災被害者にとってトラウマの再体験になることや「日本の迷惑な海洋ゴミ」として扱われていることが「二次加害」のように見えたことなどが原因で非難の声も上がった今回の作品。
これに説明を求めたYuki \ YMS(絵文字省略)で生活 /(@yuki_shudo)さん。Xで次のように投稿し、話題となりました。
ロンドンのクジラのアートについて問い合わせたところ返信を頂けました。内容は、2011年の津波のことまでアートを作る上で把握していなかったことや全てのアイテムを廃棄物やゴミとして表現してしまったことへの謝罪。そして、今ある展示物やSNSの投稿に上記に関する情報を追加するとのこと。… https://t.co/Di6hPmNmRO
— Yuki \ YMSで🇬🇧生活 / (@yuki_shudo) April 15, 2025
【追記】「日本への嫌がらせだ!見下されているからだ!捕鯨のことだ!」などといった意見が少しあるので私の意見も書いておきます。…
— Yuki \ YMSで🇬🇧生活 / (@yuki_shudo) April 16, 2025
これによれば「被災者に対し配慮がなかったことへの謝罪」「今後は展示物やSNS投稿に補足情報を追記する予定」など、誠意ある対応だったとのこと。「日本やこの国の捕鯨文化に対するヘイトでは」といった声に対し、「海外では日本についてあまり知られていない現実がある」と冷静に説明。今回の件を「誤解だった」としたうえで、「誠意ある返答がもらえたことが何より良かった」としています。
「ロンドンのクジラのアートについて問い合わせたところ返信を頂けました。内容は、
2011年の津波のことまでアートを作る上で把握していなかったことや全てのアイテムを廃棄物やゴミとして表現してしまったことへの謝罪。そして、今ある展示物やSNSの投稿に上記に関する情報を追加するとのこと。
私の他にも問い合わせした人が数人いるらしく、一つ物事が良い方向に進展して良かったなと思います!」
「日本への嫌がらせだ!見下されているからだ!捕鯨のことだ!」などといった意見が少しあるので私の意見も書いておきます。海外に住んで働き日常的にこっちの人と話している肌感覚として、日本ってびっくりするほど相手にされていません。え?そんなこと(日本のこと)も知らないの?ってことが日常茶飯事です。
それにどの国もみなさん自国のことで精一杯です。わざわざ公の場でわざわざ日本人に当てつけをしているとは到底思えません。
なので、私は今回の件は誠意を持って対応してもらい良かったと思います。日本のものが多いのも、英国人から見ると日本の漢字はキャラクターとしてかっこいい、映えるからという単純な理由だと思っています…。以上私の意見でした!」
出典:X
「誤解が解けて誠意も感じる」「後出し感はある」と様々な意見
SNSではこの対応に対し、好意的にみる声、納得がいかないという声と別れる様子が見られました。
好意的な意見としては
「運営も誠意のある対応で良き」
「難しい漢字が書かれていてそれが実は地名で津波の被害に遭った地域なのかどうかは外国だとすぐに分からないかもしれないですからね。」
「アート製作者の方々も事情の理解ばかりか気遣いまでしてくれるいい人たちで本当によかったです」
といった声が。
一方で、
「温暖化や海洋汚染と無理やり結びつけた説明で“逃げ”に見えるなぁ」
「日本から流れた“ゴミ”という印象は変わらなくてもやっとする」
と冷ややかな意見も一定数残っています。
公式Instagramのコメント欄には、世界中から「これは津波で流されたものであり、ゴミではない」との書き込みが殺到しており、誤解を正そうとする動きが広がっています。
これには「世界の方にきちんと正しい情報が伝わっていて、良かったです。」というコメントも。
「日本のことなんて、海外では案外知られていない」と冷静に現状を伝えた投稿者には、「行動してくれてありがとう」と感謝の声が多く寄せられています。
震災で傷ついた人々の思いを踏まえると、今回の展示は配慮に欠けていたのは確か。しかし、アートを通じた国際的な対話が生まれたこともまた、ひとつの前進と言えるのかもしれません。