4月28日、スペインで発生した大規模な停電。
SNSでは「太陽光発電の欠陥だろう」といった声も多く見られている一方で、太陽光などの新エネルギーを推進するメディア「pv magazine」が、専門的な視点で見解を示しています。
首相は太陽光発電説を否定、専門家は「複合的な問題」
4月28日にスペインで起きた大規模な停電について、一部メディアは「太陽光発電が原因では」と報じました。しかし、スペインの首相はこれを否定しています。
「pv magazine」が取材したノルウェーの技術コンサルタント会社の専門家によれば、太陽光パネルのせいではないと同意しつつも、詳細については次のように話しています。
「今回の停電はセビリア県にある「ジェマソーラー太陽光発電所」が何らかのきっかけで電力網から遮断されたことが、最初の引き金だった可能性があります。
原因は以下のようなことが複数重なったと見られています。
- 電力網に太陽光発電のエネルギーが過剰に溜まってしまった。
- 電気系統が不安定なタイミングで、偶発的なトラブルが重なった。
- それにより、発電と消費のバランスが崩れ、広範囲に影響が出た。
結論としては、太陽光発電で生成したエネルギーが運ばれる過程の電気系統で不具合が重なったことが最大の原因です。
ここからわかるのは、送電システム(電気系統)の計画や運用・管理の大切さです。ソーラー発電の供給の過程で、まだ把握できていない欠点があります。
再生可能エネルギーの導入は急ぎすぎると危険です。慎重に、段階的に進める必要があります。」
今回の停電の原因はまだわかっていませんが、太陽光発電機が遠からず関係していることは専門家も指摘。
今後さらなる導入には慎重な姿勢が求められると伝えています。
スペイン停電「太陽光パネルのせいではない」理由は?
専門家から見た「 太陽光発電が直接の原因ではない理由」は次の通り。
● 太陽光発電が直接の原因ではない理由:
- この程度の電力喪失は電力網で対応可能のはず。
- ジェマソーラーは、集光型太陽光発電(CSP)と呼ばれ、安定した出力があり、一般的な太陽光発電よりも不具合が出ることがまずない。
- スペインの電力システムは原子力やガス火力も組み合わせており、150MW程度の喪失は想定内のリスク。
● 他に取り沙汰された説とその否定:
- 「熱波や湿気による電線の異常(大気現象)」は珍しすぎる。
- 「サイバー攻撃」は否定されている。
- 「スペインとフランスの電力接続の切断」は起こり得るが、運用上すでに対策済み。
SNSには「太陽光パネル」拡大に疑問の声も
一方で、SNSでは「太陽光パネルそのものに欠陥があることが問題では」として疑問の声が上がっています。
スペインとポルトガルの大規模停電の原因、「おそらく」
— ヴィズマーラ恵子🇮🇹 (@vismoglie) April 29, 2025
事故の発端は、南西部エストレマドゥーラ州にある太陽光発電設備とイタリアでも報道されている。
「おそらく」の段階で、停電を引き起こした障害の原因特定には数カ月かかる可能性があるとの見方。今わかっていることは、… pic.twitter.com/r3dHnZIuen
なぜならスペインはEU内でも有数の再生可能エネルギー先進国であり、太陽光や風力発電の導入が急速に進んでいるため。
- 総発電量の約50%が再生可能エネルギー
- 太陽光発電は20.3%を占め、風力の22.1%に次ぐ規模
- 停電が起きた6月28日は、日中のピーク時に電力供給の約38%が太陽光由来だった
発電効率は良いものの、耐用年数や処理問題など多くのデメリットがあること、自然を破壊して整備することや、外国企業の製品を大量に買い付け整備することにも反対の声もあるんです。
世界的にもここまで発電元を再生可能エネルギーにしている国はあまり例がありません。
それだけに、もし太陽光パネルに欠陥があった場合はほかの発電で賄うことができないデメリットがうきぼりになってしまった形。
こうした問題に、国内では「これ、真夏の日本で起きたらエアコンも医療も止まる。命に関わるよね」「再エネ化が進む日本も対岸の火事じゃない」といった声も。今後、問題の改善が急がれます。