政府が放出した備蓄米が、話題を呼んでいます。 今月初め、大手スーパーなどで販売が始まった2022年産と2021年産の古米は、昨年4月水準の価格である5キロ2,000円という手頃さから、多くの消費者が購入に殺到。東京の店舗では早々に完売するなど、その人気ぶりがうかがえました。
購入者からは「遜色ない」「全然美味しい」といった肯定的な声が上がる一方で、一部では「味がしない、無味」「薬品のような匂いがする」といった気になる報告も上がっています。
備蓄米「味がしない、無味」「薬品の匂いする」の声はごく一部?
なぜ、同じ備蓄米なのに評価が分かれるのでしょうか? 匂いや味に関する疑問の声が上がる背景には、大きく分けて二つの可能性が考えられます。
一つは、長期保存された古米特有の「酸化臭」です。お米は保存期間が長くなると、含まれる脂質が酸化し、独特の匂いを放つことがあります。これは品質には問題ありませんが、敏感な人には「古米臭」として感じられることがあります。
そしてもう一つ、今回関心が高まっているのが「精米改良剤」の存在です。
精米改良剤への関心も高まる
精米改良剤とは? 隠された添加物の実態
精米改良剤は、古くなったお米の品質を向上させるために使われる食品添加物です。お米が割れにくくしたり、古米臭を抑えたり、つやや甘みを加えたりする効果があります。
問題は、この精米改良剤が「加工助剤」として扱われる場合が多く、表示義務が免除されることがあるという点です。つまり、消費者は知らず知らずのうちに、添加物が使われたお米を口にしている可能性があるわけです。
主な成分としては、プロピレングリコール、リン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられます。これらの成分は、食品添加物として国に認められており、定められた基準内で使用される限りは「安全」とされています。
しかし、一部の成分、特にリン酸塩の過剰摂取は、カルシウムの吸収を阻害し、間接的に骨の健康に影響を与える可能性が指摘されています。 直接的に骨粗しょう症になるわけではないものの、現代の食生活では加工食品からリンを過剰摂取しがちであるため、全体的な摂取バランスには注意が必要です。
備蓄米の「匂い」の正体は? 専門家の見解と今後の課題
今回報告された「薬品のような匂い」が、古米の酸化臭なのか、それとも精米改良剤由来の匂いなのか、あるいはその両方が複合的に作用しているのかは、現時点では断定できません。しかし、今回の備蓄米の放出をきっかけに、消費者の間で**「食品添加物の表示」や「備蓄米の品質管理」に対する関心が高まっている**のは間違いありません。
政府としては、非常時の食料確保という重要な役割を担う備蓄米ですが、国民が安心して食べられるよう、品質に関する透明性を高めることや、情報提供の充実は、今後も求められる課題と言えるでしょう。