「お米がスーパーから消えた!?」――2025年春、SNSを中心にそんな声が相次いでいます。背景には、農林水産省が発表した「備蓄米の放出」がありますが、なんとその放出量のうち99.7%が市場に現れていないという疑惑が浮上。
「お米がいっこうに安くならない」 「0.3%しか流通していないとか国が無能すぎる。米はどこに行ったの?」「また転売ヤー?」 と不安と疑念が渦巻いています。
そこで今回は、備蓄米の行方をめぐる2つの説――「流通が遅れているだけ」説と「農協などによる買い占め」説――について調べてみました。
そもそも備蓄米ってなに?
日本では万一の食糧不足に備えて、国が一定量のお米を備蓄しています。これが「政府備蓄米」です。価格高騰や不作など、市場に異変が起きたときに放出される仕組みで、今回も価格の上昇を受けて約21万トン・国内で1年間に消費されるコメのおよそ3%に相当する量が放出されることになりました。
「流通が遅れているだけ」説
農水省の公式発表では、「備蓄米の出荷は順次行っており、実際に市場に届くまでは時間がかかる」とのこと。物流・精米・袋詰め・流通などのプロセスを経るため、放出決定から数週間〜1か月ほどのタイムラグは想定内という見解です。
お米が、¥5,378…。
— 与那城千恵美 (@vgWpkzmMQocXjRo) April 16, 2025
こんな高いの買えない。#米高い pic.twitter.com/SIQxun8O43
しかし備蓄米の初回引き渡しが3月18日からと考えれば、そろそろ小売店に届いてもよいころ。
きょうまでに価格が4200円まで上昇しています。(この2か月でさらに200円上昇したようなペース)
多くの人がもどかしい思いをしていることは確かです。
時系列で見る「備蓄米はどこにある?」
日付 | 出来事 |
---|---|
2月14日 | 江藤大臣が会見。「集荷業者は1週間程度で卸売業者に売り渡し、その後、数日~1週間でスーパーに届く見込み」と発言 |
3月18日 | 備蓄米の初回引き渡しがスタート |
3月28日 | JA全農「本格的にスーパーなどに並ぶのは4月以降」と見通しを発表 |
4月14日 | 農水省「出荷は予定通り進行中」と発表。2週間ごとの販売状況報告も義務化 |
備蓄米は農協(JA)が落札し、実績のある卸売業者を通して小売店へと販売される段階にあり、多くはまだスーパーの店頭に届いていない状態です。
「農協などによる買い占め」説
一方でネット上では、「実は農協や一部の卸業者が”高く売りぬくために”故意に買い占めているのでは?」という疑惑も根強くあります。理由は以下の通り:
- 過去にも、価格を操作する目的で一時的に在庫を抱える事例があった(供給量安定のため)
→JAが価格操作も可能 - 実際にJAが2回の入札でいずれも9割以上を落札している事実がある
- 需要に対して供給量が足りず、市場を独占状態。言い値で売りさばくことが可能
- 市場価格が高い状態を維持すれば、既存在庫の販売益が上がる
さらに、
・「JAが「備蓄米と表示しないで」と要請した」という新たな事実がその疑いを色濃いものにしています。
一部報道によれば、すでに流通している備蓄米は他のコメと混ぜられた「複数原料米」と表示され、新米と並び販売されているそう。
備蓄米は古米ですから、当然原価は知れています。それをこの高騰価格で売れば、JAが一人もうける仕組みに・・・。
実際のところは?
備蓄米で利潤を上げることをしないという宣言をしているJAですが、これまでの流通状態や対応を見れば、国民から「備蓄米でもうけている」と批判されてもおかしくはありません。
農水省の最新発表(2025年4月中旬時点)では、「出荷は予定通り進行中」「今後順次市場に反映される」とされています。もしも大規模な組織ぐるみの買占めであれば、米好きの日本人をさらに怒らせることになるでしょう。