corvid-19の集団免疫が「程遠い」理由は?「武漢の抗体保有は4%未満」研究結果の示す意味

デイリーメール(Mail online)は27日、中国の華中科技大学のトンジ病院の研究結果で武漢の抗体保有が4%未満だったことを報じ、「武漢では必要以上に恐れる必要がない」一方で「新型コロナウイルスの世界的な集団免疫の獲得は(現状)程遠い」見方であることを明らかにしました。

「抗体保有は4%未満」が示す意味、そして世界的な免疫獲得を阻むものとは何なのでしょうか?

研究結果のデータから現時点で観測されている新型コロナウイルスのの免疫事情についてまとめました。

「武漢の抗体保有は4%未満」研究結果の示す意味

2019年の10月頃から中国・武漢を中心に「正体不明の肺炎」が流行後、湖北省で68,000人以上に感染したCOVID-19。

中国の華中科技大学のトンジ病院の研究者は、3月27日から5月26日までの間に感染に対する抗体のCOVID-19診断の病歴のない35,000人以上の武漢住民を検査した結果、5月の検査時点で、武漢の人々の3.9%がコロナウイルスに対する抗体を持っていたことが明らかになったといいます。

武漢の人口は1108万人であり中国の都市部の中でも最大。今回の検査では統計上、武漢の正確な抗体保有者の数をほぼ正確に算出できるとのこと。

この結果は新型コロナウイルスの感染者数が無症状患者を含めても4%に満たなかったことを意味しており「(新型肺炎を)過度に恐れる必要がない」と見られるといいます。(※)

(※)・・短期間での抗体の消失の可能性を含めない場合

感染者数の抑制の背景には、爆発的な流行を観測した直後、武漢で5歳以上のすべての武漢居住者がコロナウイルスの検査を受けることができたことがあり、これが覿面に効果を発揮したとも。

この結果、当時は5人に1人が無症状の陽性だったという武漢も、現在25日時点では周辺の湖北省で診断された症例も合計23例。

流行が抑制できている状況からも、デイリーメール(Mail online)は「過度に恐れる必要がないと見られる」と報じています。

ある意味、これは良いことです。ジョンズホプキンス大学のデータによると、日曜日に周辺の湖北省で診断された症例は合計23例であり、ウイルスの拡散は抑制されているようであり、現在、中国地域の人口の多くにとって致命的な脅威ではありません。 出典:Mail online

corvid-19の集団免疫が「程遠い」理由は?

一方で、世界的な感染を抑えるために必要とされている「集団免疫」の獲得においては、一時爆発的な流行が見られた武漢ですら4%に満たない、という結果から、集団免疫を確立するには「程遠い」という見解を示しています。

その理由は

・抗体の保有者が少なすぎる

・感染後の抗体の保有期間や効力が不明

・抗体が短期間で消滅するデータが公表された

という3つの点から。

少なすぎる抗体保有率

必要な集団免疫レベルは人口の70パーセント近く(※ドイツのメルケル首相が参照した専門家の提言より)とも言われる集団免疫において、一時病床確保が困難になるなどのパニックを起こした中国武漢ですら抗体保有率が4%に満たないのです。

さらに、英イングランド地方の調査においても36万人を対象とした調査でもわずか4.4%程度という結果。

中国、ヨーロッパともに医療現場の破綻が起きていたことを考えれば、単純により多くの人口が自然感染によって抗体を保有するだけの感染が生じることは非現実的と言えます。

抗体が短期間で消滅するデータが公表された

さらに、世界の大国の中でも唯一感染抑制ができている中国に比べ、感染者の数に歯止めが効かないローロッパにおいて英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンの大規模調査が出した結果では、一時は獲得した抗体が短期間で消滅するという結果も報告されています。

「感染者数が増え続ける一方で抗体保有者が減る」という現状はワクチンの有効性にも関わる問題でもあり、ワクチンによる集団免疫の獲得という狙いは挫かれる可能性も出てきています。

【ロンドン共同】調査は英イングランド地方の36万人以上の成人が対象。6月下旬から7月上旬に全体の6%から抗体を検出したが、9月には4.4%だった。

 デーリー・テレグラフ紙は、ワクチンが完成しても免疫が十分に持続せず、年に2度の接種が必要となる可能性があると説明した。出典:共同通信

こうしたデータを見ていくと、武漢で5月の調査結果で得られた抗体保有率においても、10月時点では減少している可能性があります。

感染しても抗体がなくなってしまうというのは恐ろしいですが・・。デーリー・テレグラフ紙はそれでも、年に2度の接種で通念の抗体が得られる見込みは示しています。

新型コロナの感染の危険は常に隣り合わせの状態かもしれません。しかし、データの蓄積による正しい対処法は徐々に確立されていくことに期待がかかります。