がんで闘病中だった経済アナリスト・森永卓郎さん(67)が28日、原発不明がんのため亡くなりました。その直前となる27日朝、「生島ヒロシのおはよう一直線」(TBSラジオ)に出演した姿が最後となったことで、電話出演で語った内容に注目が集まっています。
森永卓郎、生島ヒロシのラジオ「おはよう一直線」会話全文
森永卓郎さんは生島ヒロシさんと電話で対談。冒頭、ふだんよりかなりやせた声で話す森永さんは急な容態の変化に冷静な分析。「実はあんまり大丈夫じゃないんですよ」といいながら、以下のように、当時の体の状態を説明しました。
同番組にスタジオではなく電話を通じて出演した森永さん。パーソナリティーの生島ヒロシさんが心配げに容体を尋ねたところ、「実はあんまり大丈夫じゃないんですよ」と弱々しく答え、「先週の放送が終わったくらいから容態が急変して」「どうも本格的に転移が始まったようで、右の脇腹に一気に痛みが出てきた」と病状が著しく悪化したことを告白しました。
現在は医療用のモルヒネで痛みを抑え、どうにかしゃべれる状態とのこと。「この1週間は何も食べてないので、パワーがなくなっちゃった」「いよいよろくに歩けなくなった」と深刻な状況を伝え、「実感でいうと、そう長く持たないかもしれないというのが個人的な感想です」「ここまで急変するとは思ってなかったので、今は結構厳しい状況」と正直な思いを語っています。
出典:ニコニコニュース
自身が満身創痍である中でしたが、生島さんから「フジテレビの問題についてどのような考えか」を尋ねられると、世界が他人欠点や間違い、考え方の違いに不寛容であることを挙げ、次のように話しました。
「私ね、石破総理がもっと楽しい世の中にしようよって、言って世間から無視されたんですけど、どうもわたしは楽しくないんですよ。要するに、世の中が分断されて、ちょっとでも弱みを見せるとみんなで袋叩きにいくっていう世の中に急速にかわるじゃないですか。もちろんやったことはぜんぜんよくないし、責められるべきではあるとは思うんですが、どうもこれが世界にも広がっていて、たとえばアメリカでも分断の真っただ中ですよね。でお互い、こう非難の応酬が世界中で広まっている。」
「これでいいのかなって、正直すごく思います。」
「楽しい世の中って、じつはお互いの思いやりの中に生まれるものだと思うんですよ。フジテレビもかつては「楽しくなければテレビじゃない」っていうキャッチフレーズをかかげていた時期もあったんですけれども。もう一度、このちょっとでも弱みをみせたらそこでおしまいのような世の中に、私は心苦しく思います。」「今はみんな、人のことをガンガン非難しながらじつはみんなおびえているんですね。いつじぶんがターゲットになるかもしれないって。でもそれっていいしゃかいなのかなって。」「本当にこの一週間ですね、自分が弱って、その感覚がどんどん強まってきたっていうのが、いまのわたしが抱えている気持ちです。」
また、政治に対する世論の不満が82%に達したことについても、本来の日本の国民性に触れ”曖昧なやさしさ、寛容さを維持していくことが、日本のくらしを豊かにしていく上で大切になる”と持論を述べました。
「いま政治でも、大事なのは袋叩きではなく、どうやったら国民の暮らしがゆたかになるんですかっていうのを、みんなで議論するべきステージで、それが国会の役割になるんだと思うのですが。ぬるいとか、責任回避だとかって言われるんですけどね。」「日本っていつも曖昧なやさしさの社会だったんですよ。それを維持していきましょうっていうのがわたしは正しいと思っています。」
生島さんが「今も海外のインバウンドとかありますけど、型にはまらず、おもてなしする日本らしい心も忘れないでいたい」と話すと、
「昔、小泉八雲( チャールズ・ブッシュ・ハーン:アイルランド系・ギリシャ生まれの執筆家)が、道端にならんだ一人一人のお地蔵の、柔和な表情をたずさえている、こんないい文化は世界にほかにないぞと言っているんですけど、わたしはそんな感じじゃないかと思いますね。」
と締めくくりました。
最後のことばに視聴者も涙
と締めくくりました。日本中、世界でも広まる「叩くこと・干すこと」にブレーキをかけ、世の中を明るくよくしていくためにどうしていったらよいかをさいごまでラジオで発信しつづけた森永卓郎さん。
SNSでは、「このラジオが最後の言葉になってしまった・・」「あらためて聞いて涙が出る。」「死ぬまで魂を燃やし尽くした生き様、本当に素晴らしかったです」「魂の訴えだった。こころに刺さった」などと偲ぶ声が多数投稿されました。
森永さんは生前、多岐にわたる著書を執筆し、経済の専門家という枠を超え幅広い分野で活躍されました。
2023年5月には『ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト』を刊行し、財務省の政策が日本経済に与える影響を鋭く分析。amazon.co.jp
2024年3月には『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』を発表し、増税や社会保障費削減が国民生活に及ぼす影響を指摘しました。amazon.co.jp
さらに、2024年11月には『官僚生態図鑑』を上梓し、官僚組織の内情をユーモラスに描き出しました。k-kinoppy.jp
近年は森永卓郎さんの長男、森永康平さん(経済アナリスト、証券アナリスト、実業家)ともメディア発信を続けてきました。その発言や分析は、政策立案者や一般市民に「経済を自分ごととして考える視点」を発信し続け、その鋭い洞察は、多くの人々に影響を与え続けました。
昨日の朝の生島ヒロシさんの(最後となるであろう)生放送のラジオで、森永卓郎さんが「病状が進行し、もう長くはもたない」と言いながら、「失敗した人・弱みを見せた人を袋叩きにするのはもう止めようよ。皆で支え合おうよ」と、か細い声を絞り出しているのを聴いてたら、また涙が止まらなくなった
— 小野 俊介 Shunsuke Ono (@57p48Rj6HKyEPuI) January 28, 2025
森永卓郎さん。昨日の声がおかしかった。「マズいな」と言ってる。ご冥福をお祈りします。
— かんちゃん🍊 (@kanbowsan) January 28, 2025
生島ヒロシのおはよう一直線 RSKラジオ 2025/1/27(月) 06:00-06:30 https://t.co/HsvdHJaUtE #radiko #シェアラジコ