万博のパキスタン館で語られた“本音”が話題「インドとは仲良くしたい。でも、できないんです」

大阪・関西万博のパキスタン館で、意外にも“国際政治の本音”が聞けたとSNSで注目を集めています。

話題となったのは、ブースにいたパキスタン人スタッフによる“インドとの関係”についての説明。その内容があまりにもリアルで、ネット上では「想像以上に重い」「万博のすごさってこういうところだよね、勉強になった」といった声が相次いでいます。

「インドと仲が悪いのはイギリスのせい」

パキスタンとインドは、かつて同じ国だった地域。1947年のイギリスからの独立時に、宗教(ヒンドゥー教とイスラム教)によって無理やり国を分断されたことが、両国の対立の始まりだといいます。

コモンズ館のパキスタンブースでパキスタン側の主張聞いてみたいと思い 「なんでインドと仲が悪いんですかね?」と素朴かつ大炎上するような質問を、初心者なので恐縮です…の体でパキスタン人の係の方に聞いてみたら、もう熱弁、熱弁、録音しておきたいくらい長い時間語ってくれた。勉強になった

ブースのスタッフはこう語ります。

「我々は一つの国で問題なく暮らしていたんです。それをイギリスという三枚舌国家がインドとパキスタンに分割し、ヒンドゥー教徒はインドへ、イスラム教徒はパキスタンへ移ることになりました。 その分割の際に多くの犠牲者が出たんです。インド人パキスタン人は移動の混乱で大勢殺されました。」

「(殺されたというのは)様々です。列車で一気にという事例もありました。この時の悲劇を我々は忘れていません。 全員が移住したわけではなく、インドにイスラム教徒が、パキスタンにヒンドゥー教徒が少数残っています。これも過去の歴史の影響で今、大きな問題が生じているんです」

「インドにいるイスラム教徒はヒンドゥー教徒から迫害を受けています。牛を食べただろ、とあらぬ疑いかけられて虐待されたり」

(「逆にパキスタンにいるヒンドゥー教徒は同じような軋轢は生じていないのか?」に対し) 「インドでの問題に比べれば少ないです。ただし政治家の制限はあります」

「ヒンドゥー教徒がパキスタンで政治家として活動すると、それは自国ではなくインド有利のための政治活動を行う危険があります。なので政治家に関しては制限していますが、インドでのような迫害はパキスタンでは行なっていません。そもそもパキスタンでヒンドゥー教徒は数%しかいませんしね」

去の歴史だけでなく現在大きな問題となっているのはカシミール地方です。お互いに自分の領土だと主張して、現状半々で分けてはいるが前述のインドにおけるイスラム教徒迫害問題もあり、解決しなければならない。 さらには水資源の問題もあります。インダス川の水資源です」

「我々にとってインダス川は水資源の生命線。それを上流でインドが水を止める嫌がらせを行うんです。死活問題です」

出典:Twitter

「本当は仲良くしたい。でも、過去が邪魔をする」

この率直な言葉に、X(旧Twitter)では共感の声が多数。

「こういうリアルな世界情勢を直接 各国パビリオンの方々に聞く事が出来る。 これだけでも万博開催の意義は大きい。」

「何も知らないフリして聞くところが偉い。すばらしい学びをありがとうございます。」

「万博いいなぁ・・・ こんなこと聞けるなんて、人生にあるかないかですわ」

「和平的な本音が聞けて良かった」解決の道に希望も

一見、華やかなパビリオンが並ぶ万博会場。しかし、そこで交わされる対話には、今なお続く歴史の重みや葛藤が滲んでいます。

観光気分で訪れた人も、「世界と向き合う場」としての万博の意義を感じることになるかもしれません。