中国からの入国禁止・規制をしない理由は?日本の「インバンドによる経済効果狙い」を疑う声も

新型コロナウイルスの感染防止のための対策について、関係各国では武漢および特定の範囲からの渡航者に対し、厳しい検査や送還などの対応をはじめています。

そうした中、国内ですでに7例目の感染者が確認されている日本の現在の対応について「なぜ入国制限の措置を取らないのか」「入国禁止はできないのか」という疑問や不安の声が上がっています。

日本が入国制限をしない理由は?

追記:安倍晋三首相は31日、入国申請前14日以内に中国湖北省に滞在歴のある全ての外国人の入国を拒否する考えを発表しました。

安倍晋三首相は31日夕の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、入国申請前14日以内に中国湖北省に滞在歴のある全ての外国人の入国を拒否する考えを示した。湖北省発効の中国旅券所持者についても入国を禁じるとした出典:共同通信

以下、30日時点までの経過と考察のまとめになります。

首相官邸のホームページでは、WHOの発表を引用し、注視する方針を発表。渡航者を制限する必要がないことを示しています。

WHOの現在の見解

”世界保健機関 (World Health Organization: WHO) は、中国以外の各国に対し、世界規模の感染拡大に備えて積極的な監視、早期発見、隔離および症例管理、接触者の追跡、およびコロナウイルス感染症の拡大の防止など、すべての国が封じ込めの準備を整えすべき。またWHOと全ての情報を共有する必要がある”と発表。

→渡航についての制限は示していません。

To other countries

It is expected that further international exportation of cases may appear in any country. Thus, all countries should be prepared for containment, including active surveillance, early detection, isolation and case management, contact tracing and prevention of onward spread of 2019-nCoV infection, and to share full data with WHO.出典:WHO

24日時点で、首相官邸の説明は以下の通り。

24日未明、世界保健機関が、『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』を宣言する状況にはないものの、ヒトからヒトへの感染は認められ、中国以外の国においてはサーベイランス(注意深く監視するという意)が重要との声明を発出しました。』出典:首相官邸

渡航者に向けても、武漢含めた中国湖北省全域の渡航は「中止勧告」それ以外の地域については「十分注意」に留まる状態です。

【危険度】
●中国湖北省全域
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
●上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)出典:外務省

リアルタイムでの武漢の混乱、死者の増加、武漢市長の告白の様子などの情報が明らかになっていく中、こうした対応が十分であるのかについては疑問の声が大きくなりつつあります。

公明党・参議院議員の秋野公造氏も、中国からの渡航者の入店・入国などを禁じる意見について、

「(WHOが)現時点では渡航、あるいは貿易の制限をしないということを決めている以上、“中国の方は来ないで下さい”といったことは言いすぎだと思う。」「今はできるだけ正確な情報を共有していくことが大事だ」などとコメントしています。

(新型コロナウイルスについて)「ーWHOが23日まで検討を続け、国際的に影響が懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言については見送っている。現時点では渡航、あるいは貿易の制限をしないということを決めている以上、“中国の方は来ないで下さい”といったことは言いすぎだと思う。今はできるだけ正確な情報を共有していくことが大事だ」と説明。出典:AmebaTIMES

諸外国では入国制限あり・日本との危機管理に差

一方で、すでに他国では中国からの渡航者に対し厳しい制限を加え始めています。

・北朝鮮は中国からの渡航者の入国を禁止、
・アメリカでは武漢からの渡航者の入国を5つの空港に制限、渡航者全員を検査
・台湾は居住地が湖北省となっていれば入境を拒否、
・フィリピンはウイルスの潜伏期間を考慮し、武漢から中部カリボ空港に到着した便の乗客約500人の送還を決める

入国制限はあくまで国民を守る自国の判断に委ねられている状況がわかります。

隣国にも関わらず、未だ慎重な対応の日本。

武漢病毒研究所がコロナウイルスの感染源?米紙「生物兵器を漏らした」可能性を指摘

2020年1月26日

となると、日本の渡航者に対する危機管理が弱い状況が浮かび上がります。

一体なぜなのか?

日本の「インバンドによる経済効果狙い」を疑う声も

Twitterで噂されているのは、中国からの渡航者がもたらす「経済効果」が入国規制の判断を鈍らせているのではないか、ということ。

中国人観光客の経済効果はどのくらい?

観光庁発表によると、昨年(2019年)1月〜3月の「訪日外国人消費動向調査」で、訪日外国人旅行消費額の総額は 1兆1,182億円。

このうち、中国は 4,021 億円、約36.0%を占めるが明らかになりました。

出典:観光庁

わずか3ヶ月の間に圧倒的な消費をみせる中国人観光客の経済効果。観光客が訪れないとなれば、日本の観光地にとっては打撃となることが予想されます。

中国当局は24日から始まる春節を目前にした23日、武漢市を封鎖、24日には国内団体旅行を中止、27日には海外への団体旅行を中止しましたが、その直前に武漢を離れた人口は500万人に登ると言います。

こうした中、中国メディアによると、武漢市の市長は、春節の旅行や感染を避けるために、すでに500万人以上の人が武漢市を離れたことを明らかにした。出典:日テレNEWS24

日本が取りこぼしを防ぐための判断、という可能性も少なからず考えられます。

日本は中国の出国制限を頼りにしている?

また、WHOが国際的に渡航、あるいは貿易の制限をしない理由には、中国当局の厳しい囲い込み対策」への評価も少なからず含まれています。

緊急事態宣言を見送りした理由は?WHO「中国の対策を評価・必要なら10日後に再招集」

2020年1月24日

中国旅行社協会は25日、全国の旅行会社が団体旅行やパッケージツアーの販売を中止したと発表しました。これに伴い、27日から中国から海外への団体旅行などでの渡航が禁止されます。すでに出発済みの旅行については、日程通り行われるということです。出典:テレ朝news

隣国日本としては、WHOの見解以上に警戒することは、友好関係の維持のためには避けたいところかもしれません。

こうしたことも日本が慎重にならざるを得ない理由になりそうです。

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