中国企業のカンボジア占拠を米国が制裁「強制移住や環境破壊も」軍事転用との見方

ロイターは15日、カンボジアに拠点を置く中国国有企業の動向に軍事転用の動きがあるとして、米財務省が同企業に制裁リストに加えたことを明らかにしました。

中国の国有企業が他国の土地を違法に軍事転用する動きは先月28日までに複数の国が領有権を主張する南シナ海においても発生、同様に米国からの制裁を受けています。

中国企業のカンボジア占拠を米国が制裁

米国のロイター中国語専門メディア・新唐人電視台によると、米財務省はこの中国国有企業・ユニオン・デベロップメント・グループは違法な手段で「侵入」し、地元住民や環境に深刻なダメージを与えたことを確認したと報じています。

同企業はカンボジア開発に携わる中国国有企業としては大手でしたが、アメリカ企業との取り引きが事実上、禁止となる制裁リスト(グローバルマグニツキー人権責任法の適用)に追加されました。

米国財務省の外国資産管理局は、グローバルマグニツキー人権責任法に基づく大統領令13818に従い、深刻な人権侵害および汚職の加害者とその支持者に制裁しました。 出典:新唐人電視台

「強制移住や環境破壊も」軍事転用の見方

中国国有企業・ユニオン・デベロップメント・グループはカンボジアの軍幹部の協力を得て「カンボジア企業」と偽り企業登録し、自然保護区を開発したといいます。

大型の滑走路を建設したことも確認されたといい米財務省はこうした動きを「軍事転用に用いる可能性がある」と判断。

具体的な画像などは示さなかったものの、ロイターはカンボジアのスポークスマンも米財務省に同意見を示していると報じています。

中国政府がカンボジアの事業を利用して「世界に力を誇示する野心を推進している」と主張した。 この事業については、カンボジア政府のスポークスマンも軍事転用される恐れがあると懸念を示していると同省は指摘した。出典:ロイター

「強制移住や環境破壊も」

さらに米財務省は開発時に地元住民らを強制移住させるなどの深刻な支援破壊・人権侵害も起こしたとも制裁理由として提示しています。

これらについても明確な証拠となるものは米国からは提示されておらず、一部のSNSでは「軍事転用とは言い切れない」「アメリカの一方的な見解では」という懐疑的な声もあります。

中国共産党の国有組織であるユニオン・デベロップメント・グループは、カンボジアの軍幹部であるKun Kimを通じて、カンボジアの国有企業として登録した後、Dara Sakorリゾートプロジェクトの開発のために自然保護区を強制的に収用し、プロジェクト用地が整った後、中国の企業に戻されました。

土地取得までの間に、地元住民の強制移住を引き起こしただけでなく、自然環境への損傷も引き起こしました。 以前は、カンボジア軍の将官であるGuan Jinは、2019年12月に米国によって制裁リストに含まれていました。出典:新唐人電視台

今回問題となった開発地は現在、はカンボジアと中国の「相互接続と相互統合」を謳い、開発が続けられています。

Youlian Groupの公式ウェブサイトによると、このプロジェクトは「カンボジア-中国総合投資開発パイロットゾーンおよびカンボジアのセブンスターシーツーリズムリゾートスペシャルゾーン」と呼ばれ、中国-カンボジアの「相互接続と相互統合」の総合的な戦略的協力投資開発プラットフォームとして位置付けられています。

これは、ヨーロッパ、アジア、アフリカを結ぶ中国の「一帯一路」戦略にとって、東南アジアの重要なノードとなっています。出典:多維新聞

カンボジアは生活の6割近くを中国の経済的支援に頼っている現状があり、今回上がったリゾート地開拓に限らず土地、木材、ゴムなどの天然資源を中国に切り売りすることで現在も環境破壊が続けられている背景も。

アメリカの判断が政治的な見解であったか、人権を優先した判断であったのかについては意見が別れる様です。