シャトルランで熱中症・なぜこの時期にやる?「授業にならない」保護者からは切実な声も

東京都心では今年2回目の真夏日となった今月20日。午前11時50分ごろ、千葉県流山市の市立小で体育の授業をしていた12人が頭痛や吐き気を訴え病院に搬送されました。いずれも軽症で、命に別状はないとのこと。

体育の授業では、ドアと窓を開けた体育館で20メートルの距離をダッシュして往復する「シャトルラン」をしていたということで、屋内で激しい運動をすることについて問題があったのではないかといった指摘が保護者らの間から上がっている様です。

さらには「頭痛などの体調不良でその後全てが授業にならない」と嘆く保護者の声も。シャトルランによる熱中症は17日にも東京・狛江市でも起きたばかりでした。

そもそもなぜこの時期に、授業でシャトルランをなぜしなければならないのでしょうか。ネットの声とともにまとめました。

シャトルランで熱中症・なぜこの時期にやる?

シャトルラン(20mシャトルラン)とは、文科省の定める「新体力テスト」項目の1つで、20メートル間隔の2本の平行線を引き、その区間を合図音に合わせて往復する運動。合図音は1分ごとに速くなり、合図音までにラインに到達できなくなった時点で終了するというもので、持久力が勝負の種目と言われます。

基本的に屋内で行われますが、激しい運動に当たるため湿度や気温が高いと熱中症を起こしやすく、十分な注意が必要。夏日の様な暑さの中では避けた方が無難な運動です。

それをなぜこの時期にやるのか。理由は2つあります。それは①文部科学省が新体力テストの実施を義務付けたため、そして②子供たちの体力や生活習慣が落ち着く、長期休み明けなどを除いた時期が5月から6月下旬に行うべきという教育委員会や教師らの見解が浸透しているため。

なんとなく毎年行われている新体力テスト。実は義務化されているのです。文科省の「新体力テスト」とは、体力・運動能力調査とも呼ばれており、説明からは国のデータ集積・活用のために体力テストが実施されていることが説明されています。

教育員では生徒に負担のない時期にやりたい、でも文科省も毎年必ずデータを確実に収集したいーそんな葛藤がある中での実施でもある様です。

「授業にならない」保護者からは切実な声も

しかし、今週気温が30度越えばかりとなっている首都圏及び各地の猛暑地で行われて良いのかどうかについては慎重に検討されるべきでしょう。

シャトルラン自体には体力測定や体力向上という有意義な役割が期待されますが、以下の様な条件を満たす状況下であれば、必要な授業と言えども熱中症の危険が十分にあります。

・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・急に暑くなった日
・慣れない運動
・激しい運動をしている

出典:熱中症を引き起こす条件:環境省『熱中症ゼロへ』

また、SNS上ではこうした状況にありながら「搬送されないが熱中症に近い状態になって学校から帰ってくる」「疲労でその後の授業が全部できない」といった保護者からの声が聞かれます。

出典:熱中症を引き起こす条件:環境省『熱中症ゼロへ』

特に、「熱中症の症状を訴えても吐き気や頭痛いぐらいでは対応してくれない」といった声もあり、環境の変化と学校のマニュアル対応のずれを不安視する声もあります。

環境省の定める「熱中症予防運動指針」では、暑さ指数を参考に運動をすることを推奨しています。28度から警戒が必要で、家庭でも確認し子供とよく話し合うことが望ましいでしょう。

今後も猛暑の中で行われることが予想される体育の授業。シャトルランなどの激しい運動は屋内であっても晴れの日には行わない、気温の低い日に行うなど、慎重に検討していって欲しいものです。