志村けんの人工肺・ECUMO(エクモ)とは?「切り札」使用も急逝にファン絶句

タレントの志村けん(本名:志村康徳=しむら・やすのり)さんが29日の午後11時10分、新型コロナウイルスによる肺炎により急逝され、芸能界の関係者・著名人らにとって大きな衝撃となりました。

ネットでは「人工肺と聞いていたので覚悟はしていたが・・辛い」などと早すぎる死を受け止めきれない声が相次いでいます。

一度感染症専門の病院に転院し「見守り状態」だった志村さんの当時の治療状況とはどのようなものだったのでしょうか。

志村けんの人工肺・ECUMO(エクモ)とは?

報道によると、志村さんは24日午後、都内港区に搬送された入院先から、「このままでは体力が持たない(芸能関係者情報)」として新宿区にある感染症専門の医療機関へ転院。

この時点で肺の損傷が「最重症」であり、人口呼吸器の使用も肺に負担がかかる状態でした。

そこで転院先の医療機関で人工心肺装置 『ECMO=エクモ』を装着したと言います。

「・・(志村さんが)新宿区の病院に転院したのも、人工呼吸器の出力をマックスにすると、肺に大きな負担がかかり、志村さんの体力が“持たない”と判断されたため。・・」(ワイドショー関係者)出典:FRIDAY

ECMO(エクモ)とは

ECMO(エクモ)とは、Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)、人工肺の装置を指します。

エクモの実用例(ここでは太ももー太ももで繋がれています)出典:TERUMO

装置を通じて肺の機能を代替する装置で、処置方法としては太物の付け根から静脈の血液を取り、装置内を循環させた後首の付け根の血管に血液を戻すというもの。

ECMO(エクモ)の最大の役割は肺を休ませ、肺の自力回復まで身体を維持させること

コロナウイルスによる新型肺炎の重症患者の肺は細胞が破壊され硬くなってしまうため、機能を回復できるように一時的に肺の負担を無くし、休ませるのです。

ECMO(エクモ)はいわば、肺の自力回復を待つための時間稼ぎの装置。

ECMO(エクモ)には患者・医者の両者に負担

一方で、利用には患者にとっても医療従事者にとっても大きな負担となり、利用は容易ではありません。

・身体への負担が大きい。

75歳以上や持病がある人には特に負担が大きく、通常は使わない出典:読売新聞

・回復まで使用が長期化する傾向にある分、医療費が高額になる恐れ。

・医療従事者への負担も大きい。患者1人に対し12~13人の医療従事者の対応が必要。その内、医師だけでも救急救命医やICU担当医・呼吸器系内科医もしくは循環器担当医の4名〜5名が必要。

また日本医科大学付属病院外科系集中治療科の竹田晋浩氏らが2014年に共著した日本呼吸器学会誌第3巻第6号では上記のようなリスクを以下のように述べています。

ーしかし実際にはその(ECUMOの)導入を決めることは容易なことではない。なぜなら、ECMOは多大な費用を消耗し,多くのスタッフの労力を必要とするからである出典:日本呼吸器学会誌第3巻第6号(2014)

こうした背景もあり、NHKなどの報道では「最重症患者にのみ使用」する「最後の砦」と言われています。

ネットでは志村さんの身を案じる声が当初から上がっていました。

ネットの反応