福知山線脱線事故”クレーマーも原因説”で広がるカスハラ反対「客も成長しようよ」SNSで話題に

2005年4月25日に起きた福知山線脱線事故。
あの悲惨な事故から20年が近づくなか、事故原因のひとつとして「クレーマーによる圧力が乗務員に無理な運転をさせたのでは」という説に、あらためて関心が集まっています。

SNSでは、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」問題と重ね合わせて、
「今も何も変わってないのでは」
「冷静に考えても、従業員を追い詰めるメリットってないよね」
といった声が広がっています。

福知山線事故の事故、運転手が速度超過した理由が切ない

福知山線脱線事故は、2005年4月25日9時18分、兵庫県尼崎市で快速電車がカーブを曲がりきれずに脱線、マンションに激突した大事故です。乗客107人と運転士1人、あわせて108人が亡くなり負傷者は562人に上りました。

福知山線脱線事故

兵庫県警察と、事故後の事故調査委員会がまとめた最終報告書では

  • 事故の直接原因は、カーブ進入時の速度超過(約46km/hオーバー)
  • 列車の遅延を取り戻そうと、運転士が制限速度を超えるスピードを出していたこと。
  • 運転士が事故直前のオーバーラン後で冷静さを失っていた可能性。
  • 遅延に対する会社からの厳しい指導や、乗客からのクレームに対する過度なプレッシャーがあったこと

が発表されました。

特に当時のJR西日本での「懲罰的指導」はヒューマンエラーを起こしやすい状況にしていたことが指摘・非難されています。

直前にクレーマー・・カスハラが「運命の分岐点だったのでは」の声も

さらに、SNS上では
「カスハラ(カスタマーハラスメント)がなければ、運転士にあそこまで無理をさせなかったのでは」
という声が多数上がっています。

日頃多くの利用者がいるJR西日本。人々の命を預かる仕事だけに安全運転や規則順守は必須と言えますが、わずかな隙をついたりや理不尽な理由から激しいクレームをつける顧客への対処としても、完璧な仕事を求める傾向にあったのかもしれません。

事故直前にも、車掌にクレームを入れる乗客があったことが知られています。

このことで、冷静さを欠き始めている運転手と車掌の無線が継続できなくなっていることがわかっており、遠因ながらも「これが事故のトリガーだったかもしれない」「カスハラさえなければ異常運転だけは抑えれたはず」という声も上がりました。

「過度なクレームはいいことない」「客も成長しようよ」と話題に

「従業員を怒鳴ったり責めたりしても、パフォーマンスは上がらない」
「むしろ余計なプレッシャーでミスを誘発するだけ」
と、カスハラがもたらす負の影響に冷静な議論が広がっています。

特に、事故当時と今を比較して
「乗客のカスハラ体質、結局あまり変わっていないのでは?」

「運転手に期待しすぎ。私たちと同じ会社員なんだから、少々遅れたくらいですぐ詰めるのよくない。」

「企業には改善を求めるばかりでわたしたち利用者は成長するどころか退化してないか」

という意見もあり、利用者側の意識改革を求める声が強まっています。

福知山線脱線事故が私たちに投げかけた教訓は、「人を責めることの怖さ」かもしれません。
乗務員を追い詰めた構造のなかには、利用者側の無意識な圧力も含まれていたのかもしれない——。

カスハラ問題を「昔の話」と片付けず、今この瞬間にも考え続けることが求められています。