福井県警で今月14日、県警では初となる女性本部長が誕生したことが話題になりました。顔写真が公開されると「キャリアも美貌もすごすぎる」「尊敬する」とSNSで話題に。
しかしその一方で、公安捜査員3名が公用文書毀棄(きき)と虚偽有印公文書作成・同行使の容疑で書類送検された「ある冤罪事件の指揮官」だったと判明し、SNSがざわついています。
「美しすぎる県警本部長」が“あの大冤罪事件”を指揮していたことが話題に
就任が内定したのは増田美希子氏(47)。県警本部長は、警察庁キャリアの中でも特に高い判断力と信頼性が求められるポジションです。
その増田氏の経歴は華々しく、東京大学を卒業後警察庁に入庁、これまでに警察庁警備局警備運用部警備第二課長を務めたほか、警視庁公安部参事官など数々の役職を歴任。
そして、「大川原化工機事件」にも、警察庁の外事課企画官として捜査に関わっていました。立件後の令和2年8月には警視庁公安部第一課長に着任し、捜査を指揮したと記録されています。
警視庁公安部による冤罪事件「大川原化工機事件」において杜撰な捜査を強行したのがこの人物。被疑者の1人は長期勾留によってがん治療の機会を奪われ、命を落とした事実を忘れてはならない。
— 学生行動🕊東北ブロック (@SA_tohoku) April 17, 2025
次に公安に殺されるのは、このニュースに喜んでいるあなたかもしれない。(K) https://t.co/MvgH3XoOeV
「大川原化工機事件」とは
横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の社長らが、軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、保釈が認められないまま被疑者が亡くなった冤罪事件。
後に、捜査員が被疑者起訴のために捜査機関の証拠捏造や違法な取り調べを行った疑いがあるとして東京地裁が2023年12月に東京都と国に対し、約1億6200万円の賠償を命じています。しかし2025年1月8日、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分と発表。
公文書の破棄や虚偽報告書の作成について故意や共謀が十分に立証できないことが理由とされました。
事件概要 | 神奈川県横浜市の機械メーカー「大川原化工機」が 2020年、軍事転用可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出した疑いで、社長らが警視庁公安部に逮捕・起訴されました。しかし、後に輸出規制の対象外であることが判明し、2021年7月に起訴は取り消し。 |
被害者 | 被疑者の一人である元顧問の相嶋静夫さん(当時72歳)が、無実の状態で1年以上拘留される。 相嶋さんは2020年3月に逮捕・起訴され、東京拘置所に勾留。 同年10月に胃がんが発覚し翌11月に入院するも、2021年2月に亡くなる。 遺族は、拘置所で適切な医療を受けられずがんの発見が遅れ、死期が早まったとして国に損害賠償を求めましたが、東京地方裁判所は2024年3月21日、「拘置所の診療は合理的で、違法ではない」として遺族の訴えを退けた。 |
原因と決着 | 捜査に偽りがあったことが判明。 警視庁公安部は取り調べ中に作成された弁解録取書を破棄。そのうえで「誤って裁断した」とする虚偽の報告書を作成。 また、捜査に不利な実験データが削除された疑いも。 「大川原化工機」は捜査員3名を刑事告発するも、2025年1月8日、嫌疑不十分で不起訴処分とし発表。 |
最終的に、冤罪事件に巻き込まれた「大川原化工機」と元顧問の相嶋静夫さん遺族は泣き寝入りとなる結末に。
公安や検察の世界では「事件を立件し、起訴し、有罪に持ち込むこと」が実績として評価される傾向があり、「目的のために手段を問わない」功を急ぐ組織的な体質、司法の在り方が問われる大きな問題にもなりました。
そのため、この事件で指揮官にいた増田氏に対し、SNSでは。
「この人が指揮してたのか……」
「警察って悪党ほど出世するってやっぱり本当か。」「現場とキャリアの人間性の差がありすぎるんよね。」
「強引に事件をでっち上げたことが評価されての異動だとしたら、かなり恐ろしい話に思えてくるのだが…」
といった驚きの声とともに厳しい声も噴出しています。
増田美希子氏は「昇進?左遷?」どっちなのかと話題に
内閣情報調査室や公安部などを歴任し、女性エリートとしてもメディアで紹介された増田さん。
SNSの反応は、顔写真が公表されたことが相まって、「この美しさと経歴、もうドラマができるレベル」「美人でこのキャリアって無敵すぎる」「かっこよすぎる!めちゃくちゃ努力してきた人なんだろうな・・」と称える声が多く寄せられていました。
一方で、先の冤罪事件の責任者であった事実があることから、「左遷?昇進?どっちだろう」「男性社会だから都合よく利用されているようにも見える」など、今回の採用が「国(国民)を守る」という器を評価されてなのかどうかについては懐疑的な声がきかれます。
増田美希子氏が務めていた「警視庁公安部第一課長」は、
- 国家レベルの重要事件に関与する極めて重要な役職で、
- 現場捜査の指揮権限もあり、
- 捜査の進行や容疑者の扱いにおいて中心的な役割を担う立場です。
ゆえに、大川原化工機事件における不当捜査や冤罪に関して、責任の所在が問われているというのも自然な流れです。
形式的には昇進、だけど実質的な背景を読むと“事実上の退避”という解釈も否定できない人事と言えます。
この先の人事で、出世コースかどうかは判明していきそうです。
しかしながら、報道時にはその美貌とキャリアが注目を集めたことから
「日本って顔の良さでいい人どうか判断するところがあるよね」
「これだけひどい冤罪事件の中心人物であっても、学歴や顔で出世するの日本くらい」
「学歴やルッキズムが大事にされるばかりに、日本は騙されやすい。今回も福島県民は安易に信じると命取られるかも」といった不安の声も上がっています。
「冤罪の影にいる指揮官」としての過去を見れば、“美しいキャリアウーマン”が必ずしも信頼され、称賛されるべき存在ともはいえない、複雑な視点が必要なのかもしれません。