新幹線に乗り遅れた母親、発車した車両に駆け寄り緊急停止 5分遅延に「車掌の対応が正しい」と称賛の声

新幹線に乗り遅れた親子連れが、発車した車両に駆け寄ったことで列車が緊急停止する――そんな一連の様子を撮影した動画がSNSで拡散し、ネット上で話題になっています。

動画はすでに投稿元から削除されていますが、コピーされたものが拡散。乗り遅れた母親が大声を上げたり、何度もジャンプしたり手を振ったりしながら、子どもとともに発車した列車へ近づく様子が映っていたとされています。

その後、列車は緊急停止。結果として約5分の遅れが発生したものの、ネット上では意外にも、母親ではなく「特例を認めなかった車掌や駅員の判断」に称賛が集まっています。

新幹線に乗り遅れた親子の動画が拡散し話題に

SNS上で拡散した動画では、新幹線に乗り遅れたとみられる親子連れが、発車した車両に向かって大きく手を振る姿などが確認されたとされています。

母親は列車が動き出した後もホーム上で声を上げ、何度もジャンプするなどして列車を追うような動きを見せます。

さらに、車両に駆け寄るような行動も見られたことで、列車はそのまま走り出すのではなく、緊急停止することになりました。

列車が止まった後も、母親は何度も謝罪するような仕草を見せながら、その場から離れなかったとされています。

駅員が対応に入ったものの、やり取りが続いたことで、最終的に列車には約5分の遅れが生じたとされています。

なお、SNS上では「その列車に実際に乗っていた」という人物も投稿を見て、この出来事を知ったと話しており、現場にいた乗客とネット上で動画を見た人との間で、出来事の受け止め方が広がっています。

「子どもがいるのに」と母親の行動に厳しい声

今回、ネット上で特に批判を集めたのが、乗り遅れた母親の行動でした。

単に乗り遅れたこと自体ではなく、発車した列車に対して大声を上げたり、手を振ったり、車両へ近づいたりしたことが問題視されています。

しかも、小学生ほどとみられる子どもを連れていたことから、

「子どもが一緒なのに危険な行動をするのは怖い」

「自分が乗り遅れたことで、大勢の乗客を巻き込むことになる」

「次の列車を待つという選択肢もあったはず」

など、厳しい意見が相次ぎました。

特に、「自分の都合で定刻に出発した列車を止めることになってしまった」という点について、批判が集中したようです。

一方で、動画だけでは現場のすべての事情を確認できないため、母親の意図や心理まで断定することはできません。

なぜ車掌は新幹線を緊急停止させたのか

今回、ネット上でむしろ評価されたのが、車掌や駅員の対応です。

SNSでは乗り遅れた乗客が目の前にいる以上、感情的には「少し待ってあげればいいのでは」という声も少なからずありました。

しかし、新幹線は多数の乗客を乗せて定刻に運行しています。一人の乗客を待つために発車を遅らせれば、その影響は本人だけではなく、車内の乗客や後続列車にも及ぶ可能性があります。

また、走り出した列車に乗ろうとしてホームを走る行為は、重大な事故につながる危険があります。JR東日本も、ホーム上では「かけこみ乗車は大変危険」と案内しています。(JR東日本)

さらに、列車に異常がある場合には非常停止によって列車を止め、係員が対応する仕組みも整えられています。JR西日本も、車内非常ボタンが扱われた場合には列車が緊急停車し、係員が対応すると説明しています。(JRおでかけネット)

今回のケースでも、車両が緊急停止した理由は「乗り遅れたから待つ」という特例を認めるのではなく、安全上の異常が発生したために列車を止める、という判断になったと考えられます。

過去には「駆け込み」が死亡事故につながったことも

新幹線の発車間際に車両に近づくことが危険なのは、単なるマナーの問題ではありません。

1995年12月、東海道新幹線の三島駅では、17歳の男子高校生が発車直前の列車に駆け込もうとしてドアに指を挟まれ、そのまま列車に引きずられて死亡する事故が起きています。

いわゆる「三島駅乗客転落事故」です。

この事故では、男子高校生が列車に戻ろうとして駆け込んだ際にドアに指を挟まれ、そのまま約90メートル伴走した後、ホーム下へ転落して死亡しました。事故後には車両の戸閉め装置の改良や、列車非常停止警報装置の公衆操作化など、安全対策が進められました。(YouTube)

今回の件と事故を単純に同一視することはできません。

しかし、「乗り遅れたから慌てて追いかける」という行動が、場合によっては重大事故につながり得ることは確かです。

だからこそ、現場の駅員や乗務員にとっては、乗客の感情よりも安全を優先しなければならない場面があります。

「5分遅れたのに車掌を責めない」ネットの反応

今回、ネット上で特徴的だったのは、約5分の遅延が発生したにもかかわらず、車掌や駅員を責める声が目立たなかったことです。

むしろ、

「JRの毅然とした対応に拍手」

「ゴネれば乗れるって学習させたら次からもっと酷くなる」

「一人のために何百人も待たせるわけにはいかない」

「安全を優先した対応で、全てプロトコルに則ってると思う」

といった、現場の判断を支持する声が多く見られました。

新幹線の運行では、わずかな遅れでも多くの人に影響します。

それでも今回は、結果的に列車を緊急停止させる必要がある状況になり、約5分の遅れが発生しました。その後、列車は遅れを取り戻したとされています。

乗り遅れてしまったときに最も必要なのは、列車を追いかけることではありません。

「間に合わなかった」という自分の失敗を受け入れ、次の列車を利用する。

当たり前に思える行動ですが、今回の出来事は、その当たり前が安全を守るうえでどれほど重要なのかを改めて考えさせるものとなりました。