「日本語が分からない」と言われたら、注意する側が諦めるしかないのでしょうか。
カフェで列に横入りした外国人に日本語で注意したところ、「I can’t speak Japanese.」と英語で返されたという出来事がSNSで話題になっています。
注目を集めているのは、「日本語が分からない」という言葉が、マナー違反を注意された場面で、結果的にその場を切り抜けるように機能してしまったのではないかという点です。
マナー違反の外国人に注意した話がSNSで話題に
発端は、Xユーザーのま@香水垢さん(@aneperfume)が8月中旬に投稿した体験談でした。
友人とスターバックスで列に並んでいたところ、外国人に横入りをされたといいます。
そこで日本語で「並んでいるので後ろに入ってください」と伝えると、相手は「I can’t speak Japanese.」と英語で返し、最後尾に並び直そうとしなかったと言います。
そこで投稿者は、英語に切り替えて「あなたより前に並んでいた」「列の最後尾はあちらです」と伝えます。相手はこちらを睨みながら、最後尾へ移動していったそうです。
「日本語が分からない」だけで終わらせなかった対応に反響
ここで印象的なのは、日本語では従わなかった相手が、英語で注意すると列に戻ったことです。
この投稿が拡散し、コメント欄には同じような経験談や指摘が並びました。
「日本語は話せない」と言いながら、なぜ「後ろに並んで」の意味だけは伝わっているの?そう突っ込み賛同する声。マレーシアでも横入りは日常的だが、声を上げたら周りの客から支持された、という海外在住者の体験談。そして「話せるかどうかではなく、列に並ぶというルールの問題だ」という指摘。
中には外国人には強い言葉で反撃すべきだ、といった過激な反応もありつつ、冷静な意見として多かったのは「ルールが守れない理由を言語の問題にしてはいけない」という意見でした。
外国人との国内トラブルは増加傾向
こうした場面が話題になりやすくなった背景は在留外国人数の増加等で外国人の往来が増えたことなどが考えられます。
出入国在留管理庁によると、2025年末時点の在留外国人数は412万5395人。前年末から35万6418人増え、統計開始以来はじめて400万人を超えました。日本政府観光局(JNTO)の推計では、2025年の訪日外国人旅行者数も4268万3600人と、こちらも初の4000万人台に乗っています。
レジの列でも、駅のホームでも、飲食店でも、外国人と接する機会そのものが増えています。
だからこそ、言語や文化の違いによる行き違いやトラブルが起きる場面も増えていくでしょう。
今回の出来事は、そうした「日常に当たり前に起こり得るトラブル」がSNSによって拡散されたケースともいえます。
外国人のマナー違反は母国語で注意する?
では、実際に外国人からマナー違反をされた場合、相手の母国語で注意する必要があるのでしょうか。
今回のケースでは、日本語で伝わらなかったあと、英語に切り替えることで相手が正しい並び順につきました。
相手がルールを知らなかったかどうかに疑問を向ける声もありますが、結果的に相手が理解できるまで説明をしたま@香水垢さん(@aneperfume)の対応がトラブルを解決しました。
日本人が横入りしても、外国人が横入りしても、注意する基準は同じ。
マナー違反はマナー違反として扱い、言語はそのルールを伝えるための手段にすぎません。
今回の投稿が共感を集めたのは、「日本語が通じない」という壁にぶつかったあと、そこで諦めるのではなく、英語という別の手段に切り替えて伝えた点にもあるのではないでしょうか。
外国人とのマナートラブルは冷静さが鍵に
では、実際に横入りされたとき、何をすればいいのでしょうか。大切なのは、相手を言い負かすことではなく、ルールを伝えてトラブルを大きくしないことです。
まず試したいのは、言葉を使わない方法です。列の最後尾を指差す。自分が並んでいることを身振りで示す。それだけで伝わる場面もあります。
それでも伝わらない場合は、短い英語を使う方法があります。
「We’re in line.(並んでいます)」
「The line ends over there.(列の最後尾はあちらです)」
この程度の短い表現でも、状況を伝えることはできます。それでも意思疎通が難しい場合は、店員に任せるのも一つの方法です。カフェや店舗であれば、店員に「横入りされました」と伝えれば、店側から案内してもらえる場合があります。
そして、最も重要なのが深追いしないことです。相手が列の後ろに移動したのであれば、そこで終わりにします。睨まれたからといって言い返す必要もありません。
目的は相手に勝つことではなく、列のルールを守ってもらうことだからです。
翻訳アプリの音声読み上げを画面ごと見せるといった対応の仕方もあります。
言葉が通じないことと、ルールを守らないことは別
「英語が話せないから、外国人のマナー違反には注意できない」。
そう考えて、飲み込んだ経験のある人もいるかもしれません。ましてや「日本語が分かりません」と言われてしまえば、それ以上のコミュニケーションを諦めてしまうこともあるでしょう。
しかし、覚えておきたいのは、言葉が通じないことと、ルールを守らないことは別の問題だということです。日本語が分からないなら、英語で伝える。英語が分からない場合は、簡単な言葉やジェスチャーを使う。難しい場合は、店員や周囲の人に助けを求める方法もあります。
国籍を理由に強く出る必要も、外国人だからと遠慮しすぎる必要もありません。
「外国人だから注意する」のではなく、「ルール違反をしたから注意する」。
外国人労働者や訪日外国人が増え、日本人が外国人と接する機会がさらに増えていけば、言語や文化の違いによる小さなトラブルも増えていく可能性があります。
そのとき必要になるのは、目の前の行為を基準にして、相手に伝わる方法を選ぶことです。
国籍や言語にかかわらず、誰もが気持ちよく過ごせる社会をつくるためにも、こうした柔軟なコミュニケーションは、これからさらに重要になっていきそうです。


















