鶏むね肉とゆで卵なのに疲れる?「高たんぱく食」の盲点、足したい3つの栄養素

鶏むね肉とゆで卵。ダイエット中も筋トレ中も、これさえ食べておけば間違いない——そう思って続けているのに、なぜか疲れが抜けない。そんな感覚はないでしょうか。

筋トレや減量をしている人にとって、たんぱく質を確保しやすいこの組み合わせは優秀です。調理の手間まで考えれば、これ以上に使いやすいたんぱく質源はそうそうありません。

しかし鶏むね肉と卵を中心にすると、食事全体では別の食品から補いたい栄養素が出てきます。特に覚えておきたいのが、ビタミンC、食物繊維、亜鉛。

疲れやすさの原因は睡眠やストレス、摂取エネルギーなどさまざまで、これらの不足だけで説明できるわけではありません。それでも、食事を大きく変えずに補うという方法なら、試してみる価値はあります。

鶏むね肉とゆで卵は、たんぱく質補給には優秀

鶏むね肉と卵は栄養価が高く、含まれる栄養素も豊富なため、ダイエットや筋トレをしている人にとって取り入れやすい組み合わせです。

若どりの皮なし鶏むね肉100gには、たんぱく質23.3g、ビタミンB6 0.64mg、ナイアシン12.0mgが含まれています(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)。特にビタミンB6はたんぱく質の代謝に関わる栄養素なので、たんぱく質をしっかり取りたい人にとって、鶏むね肉は「筋肉の素」を補いながら、たんぱく質の利用にも関わるビタミンB6などを一緒に取れる食品です。

卵を加えると、摂取できる栄養素もさらに増えます。アミノ酸スコア100、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD、鉄などのミネラルに加えて良質な脂質が含まれています。

ところが、こうした「栄養満点」の食事でも、これだけでは不足しがちな大切な栄養素があるのです。

鶏むね肉と卵で足りない栄養素は?覚えるのは3つ

鶏むね肉でたんぱく質を、卵でビタミンA、鉄、ビタミンB2、ビタミンDを摂取。このメニューで、たんぱく質とビタミン類の多くは確保できます。

しかし、まだ足りない栄養素があります。それがビタミンC、食物繊維、そして亜鉛です。順に見ていきます。

ビタミンC

鶏むね肉は100gあたりビタミンCが3mg、卵にはほぼ含みません。

一方、日本の摂取基準では、成人のビタミンCの推奨量は男女とも1日100mgです。もちろん、1回の食事だけで100mgを取る必要はありません。

ただ、鶏むね肉と卵を中心にして、野菜や果物をほとんど食べない食生活になると、ビタミンCを補う機会が減ってしまいます。

食物繊維

食物繊維は、野菜や豆、海藻などから取る栄養素。

腸内細菌のエサになることでも知られています。鶏むね肉も卵も含有量は0g。

2025年版の食事摂取基準では、18〜29歳の場合、食物繊維の目標量は男性20g以上、女性18g以上。30〜64歳では男性22g以上、女性18g以上です。目標量は成人男性で20〜22g以上、女性で18g以上とされています。

亜鉛

亜鉛は、体内の数百種類の酵素の材料になるミネラルです。不足すると味覚障害や免疫機能の低下が起きると説明されています。

鶏むね肉200gと卵2個を食べても合計2.5mg前後で、推奨量(成人男性でおよそ9.0〜9.5mg、女性で7.5〜8.0mg程度)の3割前後にとどまります。

これらが不足しやすいからといって、すぐに疲労が起こるわけではありません。ただ、食事全体のバランスを考えるなら、肉と卵だけでは補いにくい栄養素があることは覚えておきたいところです。

「高たんぱく」と「栄養バランス」は別であることに注意

たんぱく質をしっかり取っていても、他の栄養素まで自然に摂れている、とまでは言えません。

鶏むね肉をたくさん食べること自体は問題になりませんが、気をつけたいのは、同じ食材だけで何か月も食事を組み立ててしまうことです。高たんぱく食を続けている人ほど、たんぱく質が満たされている安心感から、ほかの栄養素の不足に気づきにくくなります。

ただし、だるさが2週間以上続く、休んでも回復しない、朝どうしても起きられないといった状態なら、食事の話に収まらない可能性があります。睡眠、鉄の状態、ストレス、甲状腺の機能など、要因はほかにも考えられるため、内科やかかりつけ医で相談することが望ましいです。

食事の見直しのために実際に使えるのが、冷凍野菜です。

偏った食事の補助に、冷凍野菜が活躍

冷凍野菜というと、「生野菜より栄養が落ちているのでは?」と考える人もいるでしょう。

確かに、冷凍加工の過程で一部の栄養素が減少することはありますが、だからといって冷凍野菜を避ける必要はありません。調べてみると、実際には少しイメージと異なるデータがありました。

ノルウェーの食品研究機関ノフィマの解説によると、冷凍野菜は収穫から3〜24時間で加工され、ブランチング(下ゆで)の工程でビタミンCを10〜30%失います。ただしこの損失は一度きりで、その後は冷凍保存中も安定します。

一方で生鮮野菜は、店頭と冷蔵庫にいる間にも減り続けます。同機関は、いんげんを室温に24時間置くとビタミンC含有量が25%下がると報告しています。

国内でも同様の結果が出ています。農畜産業振興機構の記事によると、東京海洋大学の鈴木徹教授が8月の端境期(市場の品物が一時的に少なくなったり入れ替わったりする時期)に生鮮品と冷凍品を同じ加熱状態で比べたところ、(旬を過ぎた)生鮮のほうれん草より冷凍ほうれん草のほうがビタミンC含有量が高かったといいます。

その理由は、冷凍向けの野菜が、栄養価の高い旬の時期に収穫されて短時間で加工されるためです。

多くの冷凍野菜は下ゆで済みで、調理も手軽です。多少の栄養素の流出は考えられますが、時間のない人にとっては、栄養価そのものより、この手間の少なさに魅力を感じる人も多いはずです。

鶏むね肉と卵に足すなら、この3品

以下は取り入れやすい冷凍保存できる食品をまとめています。シンプルですが、鶏胸肉と卵に合わせて取り入れやすく、栄養素で見ても頼りになる食品たちです。

レベル1 これだけは買いたい補助食品

まず冷凍ブロッコリーを1袋。迷ったらこれで構いません。

ブロッコリー(花序・生)はビタミンCが100gあたり140mg。鶏むね肉3mg・卵0mgという空白に対して、桁が違います。食物繊維も100gで5.1g。冷凍と加熱で目減りはしますが、埋める役としては十分です。

食べる量の目安は、野菜料理の小鉢1皿ぶんにあたる70gほど。冷凍ブロッコリーなら4〜5房です。1袋を数回に分けて使えば足ります。

ほうれん草派の人は冷凍ほうれん草でもOK。こちらはビタミンCが少ないかわりに、鉄と葉酸が入ります。凍ったまま味噌汁に落とすだけで終わるのが強みです。

レベル2 もう1つ足すなら

もう一つ選ぶなら、冷凍枝豆納豆です。どちらも亜鉛を豊富に含みます。冷凍枝豆は100gあたり、食物繊維7.3g、亜鉛1.4mg、鉄2.5mg、マグネシウム76mgなど、不足しがちな栄養素も豊富。

枝豆は「野菜」のように見えて、畑の肉でもあります。大豆の未成熟な豆で、普通の野菜とは少し違う栄養構成を持っています。解凍するだけで食べられることが大きなメリットです。

また、納豆もご飯に乗せるだけで食べられるので、料理をしたくない日に使えます。

ブロッコリーでビタミンC・食物繊維。

枝豆や納豆で亜鉛・食物繊維。

これで3つの栄養を補うことができます。

レベル3 飽きが来てしまったら

ここまでやっても毎日同じ食事では飽きます。

そんなときは、足すだけでなくタンパク源や、補助食品を変えてみるのもおすすめです。

あさりの水煮缶・・鉄・亜鉛・ビタミンB12がまとまって入っていて、汁ごとスープに落とすだけで使えます。成分表の鉄の値は生のあさりの約7.9倍と際立って高いのですが、加工で水分が減ったための見かけ上の濃縮という指摘があるため、ここでは数字を出しません。数字抜きでも便利な一缶です。

ミックスナッツ・・カシューナッツ(フライ・味付け)は100gあたり亜鉛5.4mg。ただし100gで591kcalあります。ひとつかみ25gで亜鉛1.4mg、およそ148kcal。袋のまま食べずに、小皿に出してから食べるのがおすすめです。

鶏むね肉の日を週1〜2回だけ豚肉に・・鶏むね肉に飽きたら、豚のロース肉(100gあたり27gものタンパク質)のように置き換えるのもおすすめ。さらに豚ロース肉100gにはビタミンB1が約0.69mgと報告されていて、200gほどで成人男女の1日あたりの推奨量を達成できます。タンパク質ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変える過程で必要な栄養素で、不足すると食欲不振や疲労、だるさが出るとされています。毎日である必要はありませんが、自然と活力が出やすい食べ物です。

食材の種類が増えれば、自然と摂取できる栄養素の種類も増えていきます。

少し疲れを感じたら、補助食品の検討も

栄養バランスを完璧にしようとすると、食事は急に面倒になります。カロリーを計算して、たんぱく質を計算して、ビタミンを計算して……。これを毎日続ける必要はありません。

まずは、鶏むね肉と卵の日に、冷凍ブロッコリーを1品足すだけで十分です。

鶏むね肉と卵は忙しい人にとって便利なたんぱく質源で、食習慣によるメリットは多くあります。ただ、それだけで食事を完成させようとすると、たんぱく質以外の栄養素が長く手薄になります。できれば、同じ食事が何か月も続く状態は避けたいところです。

「鶏むね肉と卵の日は、冷凍野菜を1つ足す」

完璧な献立を目指さずとも、足りない栄養素を少しずつ補っていけばいいものです。

もしも今の食生活が鶏胸肉や卵ばかりになっていたら、取り入れてみるのはどうでしょうか。